東大ら,反強磁性型の励起子絶縁体を初めて発見

東京大学,米ブルックヘブン国立研究所,スイス ポールシェラー研究所,米テネシー大学,米アルゴンヌ国立研究所,米オークリッジ国立研究所,中国科学院,中国 上海科技大学は,電子と正孔の結合状態が生み出す反強磁性型の励起子絶縁体を実験と理論の両面から新たに発見した(ニュースリリース)。

物質中で電子のペアがボーズ・アインシュタイン凝縮と呼ばれる現象を起こし超伝導体を生み出すのと同様に,電子と正孔の結合状態である励起子が凝縮することで励起子絶縁体と呼ばれる状態を生じさせる。

ここで励起子の量子力学的性質に注目すると,スピン一重項の励起子が凝縮して生じる励起子絶縁体についてこれまで精力的に研究されてきたが,三重項励起子の凝縮には特別な結晶構造と絶妙な相互作用バランスの両方が必要となるため,スピン三重項の励起子が凝縮した物質は見つかっていなかった。

研究グループは,イリジウム酸化物Sr3Ir2O7に対する共鳴非弾性X線散乱実験と理論計算から,三重項励起子が凝縮した反強磁性型の励起子絶縁体であることを明らかにした。

この成果により今後,三重項励起子のボーズ・アインシュタイン凝縮現象に関する実験的検証と操作が可能になるという。研究グループは,反強磁性励起子絶縁体における電子の電荷・スピン・軌道自由度の役割がさらに明らかになり,量子マテリアルのデザインと応用につながると期待されるとしている。

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