OIST,青色ペロブスカイトLEDの安定化に成功

沖縄科学技術大学院大学(OIST)の研究グループは,初めて左右非対称の分子架橋を使用してペロブスカイト層を連結させ,構造の安定性を向上させた金属ハロゲン化物ペロブスカイトを用い,青色LEDを開発した。(ニュースリリース)。

ペロブスカイトLEDは,現在市場に出回っているLED技術よりも,明るく純度が高い色を低コストで製造できる可能性がある。

しかし,ペロブスカイトLEDの安定性は低く,最も安定性の高いLEDでも寿命は数百時間程度にとどまっている。特に青色LEDは赤色や緑色のLEDに遅れをとっており,寿命は2時間以下で効率も半分程度にとどまっていた。

研究グループは,青色ペロブスカイトLEDに見られる大きな課題の1つである「ハロゲン化物偏析」に注目した。金属ハロゲン化物のペロブスカイト結晶は,ハロゲン化物が金属原子を取り囲み,八面体状に結合する構造をとり,これら4つの八面体の中央に陽イオンが位置する。

しかし,ペロブスカイトLEDを発光させるために必要な電圧を加えると,八面体構造を形成するハロゲン化物陰イオンが離れてLEDの正極側に移動してしまう。また,八面体構造同士の間に位置する陽イオンもLEDの負極側に移動する。このイオンの移動によりペロブスカイト構造が劣化するため,LEDの効率が低下し,青色が緑色を帯びた色に変化してしまう。

研究グループはこの課題を解決するため,2次元ペロブスカイト結晶の層を重ね合わせた「Dion-Jacobson相」と呼ばれるペロブスカイト構造を用いて青色LEDを作製した。そして,ペロブスカイト層同士を分子架橋で連結させ,構造全体の安定性を向上させた。

従来の研究で用いられた分子架橋は左右対称で,分子の両端が同じ形をしていた。そこで今回,両端が異なる形をした左右非対称の分子架橋を使用すると,ペロブスカイトLEDの全体的な特性に影響が出るかどうかを調査した。

その結果,架橋分子が左右非対称であると,ペロブスカイトの層におけるイオンの移動が遅くなり,ペロブスカイト構造の安定性が向上することを発見した。そして,この左右非対称性により架橋分子における電子分布が変化し,ペロブスカイト層同士の間に小さな双極子電場が生じることを示した。

研究グループは,この双極電場がイオンの移動を妨げ,安定性を維持していると考えていることから,左右非対称の分子架橋を使用する戦略は,ペロブスカイトLEDにおけるハロゲン化物偏析の課題を解決するだけでなく,ペロブスカイト太陽電池などの他のペロブスカイトデバイスにも応用できる可能性があるとしている。

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