北大,水と光で作製した半導体界面の電子構造解明

北海道大学の研究グループは,水と光のみを用いた水中結晶光合成(SPSC)という新たに開発した手法により,良質な界面からなる3次元半導体(ヘテロエピタキシャル)構造を作製し,界面での特異な電子構造の存在を明らかにした(ニュースリリース)。

金属と半導体や異種半導体間の界面は半導体デバイス性能にかかわる重要な要因であるため,多くの開発研究が,欠陥の少ない界面構造作製による物性制御に向けられてきた。

これまで半世紀近くの長い間,異種半導体界面については多くの研究がなされており,界面の電子(電位)状態を表す特異性としてフェルミ準位の固定(ピニング)効果が知られていたが,これが界面上での格子欠陥によるものなのか,界面ダイポールとよばれる電子分布の分極的なふるまいによるものかは不明だった。

そこで研究では,紫外光を利用したSPSCという水と光のみを用いて作製する低環境負荷な新たなナノ材料合成法を開発し,良質なZnO/CuO(酸化亜鉛/酸化銅)のヘテロ接合半導体ナノ構造(ヘテロエピタキシャル)を作ることに成功した。

次に,透過型電子顕微鏡を用いて原子構造解析(HRTEM)による界面原子構造と電子線損失分光(EELS)による誘電率,光吸収(係数)の評価を行ない,さらに,密度汎関数理論に基づく第一原理計算と紫外線-可視光-近紫外分光分析による吸光度の実測と比較検討した。

これにより,たとえ原子配列の整合性が良い界面における場合でも,界面を挟んだ対称性が破れ,不整合な電荷密度分布(ICCD: Incommensurate Charge Densityと命名)が生じていることを明らかにし,界面ダイポールの効果とそれに伴う見かけ上の疑似的欠陥生成現象により,固有の界面エネルギー準位が形成され,優れた光機能性が発現していることを解明した。

また,作製した3次元半導体デバイスは,特に可視光域での優れた光電流,発光ならびに光吸収などの光特性を示すため,研究グループは,発光素子や光機能を利用した半導体・エネルギーデバイス材料開発や,将来的には太陽光を利用する水と光を用いた持続可能な材料創製技術としての進展への寄与が期待されるとしている。

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