日立ハイテクは,電子線広視野検査システム「GS1000」を開発したことを発表した(ニュースリリース)。
近年,半導体デバイスの微細化が進むにつれ,先端デバイスメーカーは微細かつ高精度な加工が可能なEUV露光プロセスを導入し,5nm世代デバイスの量産や3nm世代デバイスの開発への適用を開始している。
EUVにより加工される回路パターン寸法はArFの約半分になるため,より微細な回路パターンを安定的かつ正確に検査計測できる技術がプロセスや歩留まりの管理に必要とされる。特に,EUV露光特有の回路線幅のばらつきや,ランダムに発生する微小Stochastic欠陥の低減など,高品質なEUVマスクを確保することが最重要とされており,検査計測ポイント数の増加に伴う高スループットな検査計測のニーズが高まっているという。
このシステムは,従来の高速電子線検査(EBI)装置ではなく,高性能の電子光学系と高速大容量データ処理システムを融合しており,半導体デバイス量産にEUVプロセスを導入した際に生じる課題解決に貢献するもの。
最先端の電子光学系設計により開発された収差補正器を用いたことで,広視野移動領域内における分解能を劣化させることなく,電子線をウエハーへ垂直に照射でき,広領域で高精度な検査計測が可能。照射ステージを移動させることなく,高速な視野移動と高い検査感度の維持を両立させたことで,従来のCD-SEM比で100倍の広領域スキャンによる高精度な撮像を実現する。
また,電子ビームの大電流化技術により,高分解能かつ高速なスキャンを両立し,高精細な画像取得を通して,高品質・高スループットな検査計測ソリューションを実現するという。
さらに,専用の高速画像処理システムは,4K画像の高速撮像と画像転送サーバを用いた並列処理によるリアルタイムなD2DB計測を実行し,超高速のデータ転送と高スループットを実現。検査計測ポイント数の増加による大容量データ処理,およびプロセスのばらつきや微小欠陥の認知を高速かつ高精度に行なうことが求められる中,AI技術を取り入れたD2AI検査も取り入れ,市場のニーズに対応していくとしている。