東大ら,Ia型超新星の爆発直後の閃光を捕捉

東京大学,京都大学,広島大学,国立天文台らは,特異なIa型超新星の爆発直後からの観測と理論計算を組み合わせた研究により、これが通常のIa型超新星とは異なる進化過程を経て爆発したものであることを明らかにした(ニュースリリース)。

太陽のような中間質量の星の残骸である白色矮星は,単独では大きな活動性を示さないが,別の星と近距離で回りあっている場合は,もう一方の恒星からガスを取り込み,チャンドラセカール限界質量と呼ばれる質量に近づいた場合,最終的に核反応の暴走により爆発すると考えられており,このタイプの超新星爆発は,Ia型超新星と分類される。

Ia型超新星は非常に明るく,明るさのばらつきもほとんどないことから,遠方宇宙まで見渡せる強力な標準光源として用いられてきた。一方,Ia型超新星の起こる仕組みや,爆発の引き金となる発火といった基本的な部分は不明な点が多い。

研究グループは,東京大学木曽観測所のTomo-e Gozen(トモエゴゼン)カメラを用いて,爆発から1日以内の爆発初期段階にあるIa型超新星を捉える試みを行なっている。このカメラは,計84枚のCMOSイメージセンサーにより1億9,000万画素を持ち,1秒あたり2回という高頻度で一度に20平方度の視野の動画撮影が可能。広い領域のサーベイ観測で突発的な天体現象を捉え,その時間変化を詳細に調べる。

この中で研究グループは,爆発後約5時間しか経過していないと考えられるTomo-e202004aaelb(SN 2020hvf)というIa型超新星に着目。これは爆発直後に閃光を示した後一旦暗くなってまた明るくなるという,一日以内での大きな光度変動を示した初めてのIa型超新星。

研究グループは,国内外の複数の望遠鏡で追加観測を行なった結果,爆発直後のスペクトルはこれまで知られているどのタイプの超新星とも異なる特徴を示したが,時間とともに以前に発見された明るいIa型超新星の特徴との一致を示し,Tomo-e202004aaelb(SN 2020hvf)が特異なIa型超新星に分類できることが明らかになった。

シミュレーションの結果,爆発した白色矮星の周囲に大量の物質が存在し,これが超新星によって生じた爆風と衝突したことでエネルギーが放出され,それが閃光を引き起こしたことを示した。

これは,特異なIa型超新星の爆発機構として提案されている様々な理論予想を調べる手がかりになると期待されるもの。同時に,典型的なIa型超新星がどのように爆発するか,という問題に対しても大きな示唆が得られるものとしている。

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