阪大,ブラックホール近傍磁場をレーザーで再現へ

大阪大学の研究グループは,新方式「マイクロチューブ爆縮」を使って中性子星の磁場強度に匹敵するメガテスラ級の極超高磁場が生成され時間発展してゆく様子を,スパコンを使った3次元シミュレーションによって初めて検証した(ニュースリリース)。

これは研究グループが2020年10月に提唱した,ミクロンサイズの中空円筒体に強力な超短パルスレーザーを照射することにより,現在地上で生成可能な磁場強度(キロテスラ)のさらに千倍強力なメガテスラの極超高磁場を生成させる新たな物理機構をシミュレーションによって明瞭に確認したもの。

直径5-10μm程度の円筒中空構造の外側から超高強度レーザーを照射すると,5〜10メガエレクトロンボルト程度のエネルギーを持つ高速電子が発生する。あらかじめ比較的弱い強度の種磁場を円筒軸の方向に作っておくことにより,光速に近い速度で物質内を運動するこれらの高速電子は数ミクロンという小さな半径を持つリング状のスピン電流構造を形成する。

この電流は1018アンペア/m2にも達し,結果としてブラックホール近傍で観測されるとされるメガテスラ級の磁場が実験室でも実現できるものと期待されるという。

今回,メガテスラという地上では到底実現され得ないと思われていた極超高強磁場が今日のレーザー技術を使って可能であることが明らかとなった。研究グループは現在,大阪大学の超高強度レーザー「LFEX」を使った実験を進めている。

尚,今回の研究における三次元計算結果は,大阪大学サイバーメディアセンターのスパコン「OCTOPUS」を使って得られた。

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