光技術展示会「光とレーザーの科学技術フェア2021」(11月17日(水)~19日(金),東京都立産業貿易センター浜松町館)において,宇都宮大学 オプティクス教育研究センター 山本研究室は,テレワークなどで会話相手と目を合わせて会話できる空中ディスプレー技術のデモを行なっている(可視光・次世代レーザー応用ゾーン ブースNo.3V-13)。
コロナ禍によってテレワークの機運が高まり,遠隔地同士によるリモート会議も一般的に行なわれるようになった。このとき,多くの人はPCに付属するカメラを持ちてリモート会議に参加するため,視線がディスプレーに集中すると相手と視線を合わせて会話することが難しい。
そこで同研究室では,空中ディスプレーを用いて「視線の合う」リモート会議システムを提案した。これは敷くように置いたタブレットの上に,偏光板と組み合わせた板状のビームスプリッタを斜めに置き,その奥に再帰性反射材を立てるシンプルな構成によるもの。
実際に使用してみると,ビームスプリッタ上にディスプレーの映像が写り,タブレットのカメラは同じ光軸で入ってきたユーザーの顔を捉える。つまり,カメラはディスプレー越しの映像を捉えるため,相手の像と視線を合わせて会話している状態となる。
研究室では輝度や解像度の点で改良の余地があるとしているものの,非常にシンプルでかつ簡便なシステムのため,うまくノートPCで利用できるように改良すれば実用性は高いと思われる。
展示ではこのほか,空中タッチディスプレーや,ガラス玉を載せたときだけ像が出現する映像の秘匿装置など,興味深いデモが行なわれている。