リコーインダストリアルソリューションズは,産業車両業界向けに,フォークリフト用ステレオカメラを豊田自動織機と共同開発したことを発表した(ニュースリリース)。
人と物が混在するフォークリフトの作業現場において,車両と人・物の接触事故の発生を抑制するため,フォークリフト作業における安全性向上に対するニーズが高まっている。
同社は,車載ADAS(Advanced Driver Assistance System:先進運転支援システム)用ステレオカメラで培った独自の光学設計技術,キャリブレーション技術,リアルタイム視差演算技術をフォークリフト用ステレオカメラに転用することで,フォークリフトの複雑な環境下において,周辺の障害物の中から人,物を立体的にとらえ,高精度に検知することを可能にしたという。
新開発のフォークリフト用ステレオカメラを搭載した「SEnS」は,検知エリア内の障害物の中から人を見分けて,通知ブザーと通知ランプでオペレーターに接近を知らせる安全運転支援システムとして,2021年5月から豊田自動織機が全国40社のトヨタL&F取扱店を通じて販売。2021年8月には新たに車両と連動し,走行速度や発進を制御する機能が加わった後方作業者検知運転支援システム「SEnS+」をコンパクト電動フォークリフト「Ecore」のオプションとして発売している。
この製品は,広角化技術により水平角130°という広範囲の検知を実現しており,さらに3次元をベースとした認識技術により,従来の作業者にタグを携帯させ検知する方式とは異なり,不特定多数の人に対してタグ携帯なしでの検知が可能になっている。また,厳しい使用環境にあるフォークリフトの現場においても動作可能なIP67という高い耐環境性能を有しているという。
さらに,画像処理・電源機能をカメラ内に実装することで小型化,ワンパッケージ化を実現し,取り付けや運用も容易になり,現場で稼働している既販のフォークリフトへの装着も可能だとしている。