日本電気(NEC),OCC,住友電気工業は,非結合型マルチコアファイバを収容した海底ケーブルを世界で初めて開発した(ニュースリリース)。
この開発において,NECは海底ケーブルを用いた長距離伝送試験の実施,OCCはマルチコアファイバを収容した海底ケーブルの製造,住友電気工業は海底ケーブルに収容される非結合型4コアのファイバの製造をそれぞれ担当した。
光ファイバケーブルは光が伝搬する中心部のコアと,その周囲を覆うクラッドの二重構造になっている。従来のシングルコアファイバケーブルはクラッド内に単一のコアを有しているのに対し,マルチコアファイバケーブルはクラッド内に複数のコアを有しており,それぞれ独立した伝送路を設けることができる。
今回開発したマルチコアファイバケーブルには従来のシングルコアファイバケーブルと比較して4倍のコアを有する非結合型4コアファイバを適用しており,ファイバサイズを維持したまま伝送容量を大幅に拡大することが可能。また,この海底ケーブルには非結合型4コアファイバを32心収容でき,最大で128コアによる伝送が可能となる。
この海底ケーブルは,OCC製「OCC-SC500シリーズ」の「LW (Light Weight)ケーブル」を使用しており,17mmと細径でありながら水深8,000mの海底でも耐えうる強度を有している。これまで,伝送容量を大幅に拡大するためには広径の海底ケーブルにより多くのファイバを収容することが一般的だったが,マルチコアファイバを適用することで空間が小さい細径ケーブルを用いて伝送容量を拡大することが可能となる。
実際の利用を想定し水中・長距離の伝送試験を行なったところ,ファイバそのものの試験結果と比較して,光信号パワーの減衰量,コア間クロストーク(隣接するコアからの光の漏れ込み量)などの光学特性に大きな変化はなく,良好な伝送性能を得ることに成功したという。
今後3社は,マルチコアファイバ量産化技術の開発,長期利用における信頼性の検証,マルチコアファイバに対応した海底光中継器の開発を進め,マルチコアファイバケーブルを活用した国際データ通信網の拡充に貢献していくとしている。