2027年,ワイドバンドギャップ半導体市場325億円

矢野経済研究所は,世界のワイドバンドギャップ半導体単結晶市場を調査し,製品セグメント別の動向,参入企業動向,将来展望を明らかにした(ニュースリリース)。

それによると,パワーデバイスを中心に採用が進んでいるワイドバンドギャップ半導体単結晶世界市場は数量と金額ともに近年成長が続いている。2021年の同市場規模(メーカー出荷ベース)を面積ベースで1,113万1,720cm2,金額ベースでは124億1,500万円になると予測した。

材料別に現状をみると,SiC(炭化ケイ素)がすでに多くの用途に採用されており,本格的な成長ステージに差し掛かっているという。市場が急成長するタイミングは2023年以降の見込みであり,車載アプリケーションへの採用がポイントだとする。

GaN(窒化ガリウム)は,SiCに次ぐポジションになっており,LEDやLDなどの照明用途が中心であるが,パワーデバイスや高周波用途では非常に優れたデバイスとして今後の伸長が期待される。また,GaNの課題であるウエハーの大口径化についても改善の兆しが表れているという。

次に期待されているGa2O3(酸化ガリウム)は急成長の兆候がある。Ga2O3はコスト・性能等のポテンシャルが高く,2025年頃の量産化に向けて様々なプレーヤーによって研究開発が進められており,ウエハーの大口径化や,SBD(Schottky Barrier Diode)デバイスの開発,サンプル出荷の展開へと着々と進んでいるとしている。

AlN(窒化アルミニウム)は,深紫外線のLEDとして注目されている。口径2インチ品が市場へ投入されており,新型コロナウイルスの影響による除菌・殺菌ニーズの拡大もあり,普及が始まっている。しかし,サファイア基板を用いたタイプの深紫外線LED性能が向上しており,AlNを下地基板として採用したユニバーサルな波長を活かしたアプリケーションへの展開が期待されるという。

また,究極の半導体材料であるダイヤモンドの期待値は高く,量産となる口径2インチ品への見通しが立ち,デバイス化の研究が継続しているとしている。

ここでは,かねてより研究対象として歴史があるにも関わらず,研究開発の余地が多いとされるAlN(窒化アルミニウム)単結晶基板に注目している。新型コロナウイルスの影響で製品開発が急ピッチに進んでおり,コロナ禍以前では除菌や殺菌に対するニーズはそれなりにあったものの,その希求度はその他のアプリケーションと同程度に認識されていた。

しかし,世界的なパンデミックにより,人類の衛生観念は大きく変わりつつあり,深紫外線のLEDによる除菌・殺菌アプリケーションの開発は市場からの要求が多く多様になってきている。また,この殺菌機能は,水や対象物の表面,空間だけでなく,分析機器や検査機器にも応用が期待されており,その用途における開発も今後進められると考えられるという。

さらに,AlNは高いバンドギャップを持つことから,パワーデバイスや既存材料では対応しきれない領域の高周波用途としての研究も,将来的に盛んになると想定する。また,今後はそれだけでなく短波長を活かした高密度光記録や,波長が選択できることによる成形物や印刷インクに必須である樹脂硬化にも活躍のフィールドを広げていくと見込んでいる。

AlN単結晶基板を採用したアプリケーションは殺菌がメインとなるが,265nmというユニバーサルな波長を活用したい分析や研究における特異光源としても認識されているという。

将来展望については,今後,パワーデバイスの本格普及や,アプリケーションへの採用種類と搭載数の増加を背景として,市場は拡大傾向にて推移し,2027年のワイドバンドギャップ半導体単結晶世界市場(メーカー出荷金額ベース)を325億2,300万円と予測した。

材料別に内訳をみると,SiCが237億400万円(構成比72.9%),GaNは54億円(同16.6%),Ga2O3は19億円(同5.8%),AlNは10億8,000万円(同3.3%),ダイヤモンドは4億3,900万円(同1.3%)になると見ている。

今後,研究開発用途での需要増加とともに,それぞれの材料で各アプリケーションへの採用と搭載が進むという。先行するSiCでは口径6インチウエハーの構成比が増加しており,8インチの製造もいよいよ始まる見込みだという。

また,参入企業も増えており,競争が激しくなると想定する。さらに,Si(シリコン)代替だけでなく,材料同士でのワイドバンドギャップ半導体単結晶市場の取り合いも発生することになり,Si対比だけでない性能やコストの戦いとなると想定している。

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