岐阜大,極小振動数を持つ魔法数の存在を明らかに

岐阜大学は,球面上の荷電粒子系を微粒子と見なし,その固有振動数の解析を行なうことにより,微粒子のエネルギーだけでなく振動数も極小となるような魔法数が存在することを明らかにした(ニュースリリース)。

ナノスケールの微粒子は数十から数百の原子が凝集したもので,ある特定の原子数(魔法数,マジックナンバー)を持つ微粒子だけが合成されることが知られている。

魔法数を決定するためには,横軸を原子数,縦軸を微粒子のエネルギーとするグラフを描く必要がある。原子同士が引力相互作用する場合,原子がまとまって一つの微粒子を作るので,原子数が増大するとエネルギーは減少する。

原子数𝑀を持つ微粒子のエネルギーが,原子数𝑀±1である微粒子よりもエネルギーが極端に低いとき,この𝑀が魔法数となる。数学的には,エネルギーは原子の座標の関数であり,微粒子を構成する原子の座標を決めると,その微粒子のエネルギーがただ一つ決定される。

原子座標を変化させるとエネルギーも変化するので,一般にエネルギーは曲面を描く。この曲面にはデコボコした山や谷がたくさんあり,最も深い谷底が安定な微粒子構造に相当する。したがって,エネルギー的に安定な魔法数の微粒子では,この谷が極めて深いということを意味する。

これまで,微粒子の「谷の深さ」に関する研究は数多く行なわれてきたが,「谷の形状」は注目されてこなかった。微粒子の固有振動数は谷の形状によって決まるため,その詳細を理解することはナノサイエンスにおける重要な問題だという。

研究では,球面上の荷電粒子系を微粒子とみなし,そのエネルギーと最大振動数を粒子数𝑁の関数として計算した。その結果,エネルギーが極小となる𝑁では,いくつかの例外を除き,最大振動数も極小となることが明らかになった。上述の谷の例を用いると,「深い谷の底は滑らかである」ということを示唆する。

また例外の1つである𝑁=122の場合,粒子配置は高い対称性を持つが,荷電粒子の個々のエネルギーが複数に分裂するという,特殊な粒子数であることがわかった。これは,谷は深くかつ鋭いという環境を生み出し,それゆえ最大振動数は極小値を取らないと解釈されるという。

研究では,球面上粒子系という簡単なモデルを使って,微粒子の最大振動数が極小となる魔法数が存在することを示した。今後は,現実物質の安定構造に対しても同様の計算を行ない,ナノ微粒子の実験と比較する必要がある。

球面上粒子系の安定構造を決定する問題は,数理物理学における未解決問題の1つであり,今回の成果は,この分野に新たな視点を提供するとしている。

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