NEDOら,100平米規模の人工光合成で水素製造

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と人工光合成化学プロセス技術研究組合(ARPChem),東京大学,富士フイルム,TOTO,三菱ケミカル,信州大学,明治大学は,100m2規模の太陽光受光型光触媒水分解パネル反応器(光触媒パネル反応器)と水素・酸素ガス分離モジュール(ガス分離モジュール)を連結した光触媒パネル反応システムを開発し,世界で初めて実証試験に成功した(ニュースリリース)。

NEDOは,「二酸化炭素原料化基幹化学品製造プロセス技術開発(人工光合成プロジェクト)」において,太陽光エネルギーを利用して光触媒によって水から得られるソーラー水素と二酸化炭素を原料とした基幹化学品製造プロセスの基盤技術開発に取り組んでいる。今回研究グループは,ガス分離モジュールを備えた大規模な光触媒パネル反応システムを開発し,実証試験を行なってきた。

開発したシステムは100m2の受光面積を持つように連結された,チタン酸ストロンチウム光触媒シートを格納する光触媒パネル反応器と,分離膜を内蔵したガス分離モジュールで構成されており,実証試験の結果,水分解反応により生じた水素と酸素の混合気体から高純度のソーラー水素を,安全かつ安定的に分離・回収することに世界で初めて成功した。

具体的には,発生する混合気体の気泡がスムーズに移動し,かつ着火しても爆発しない構造を持つ光触媒パネル反応器を設計・開発し,これらを連結することで100m2の光触媒パネル反応器を製作し,混合気体を屋外環境でも継続して1年程度発生することを確認した。

さらに光触媒パネル反応システムのガス分離モジュールにより,混合気体から高純度のソーラー水素を分離できた。日照条件によらず,ガス流量を適切に制御できるので安定したガス分離性能を維持でき,さらに屋外でも数カ月にわたり機能性を損なわず動作することを実証した。

また,光触媒反応システムを適切に設計することで,屋外試験中,一度も自然着火・爆発はなかったという。さらに万が一の場合の爆発の影響を見るために,光触媒パネル反応システムの各構成部に意図的に着火したが,爆発による装置の破損や,光触媒や分離膜の性能劣化は確認されなかった。

これらは光触媒パネル反応システムの大規模化やソーラー水素製造プロセスの安全設計に関する基本原理を示した画期的な成果だという。研究グループは今後,可視光応答型光触媒による太陽光エネルギー変換効率(5~10%)を目指すとともに,光触媒パネルの低コスト化と一層の大規模化,ガス分離プロセスの分離性能とエネルギー効率の向上を進めるとしている。

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