玉川大,カルシウムイメージングを霊長類に適用 

玉川大学の研究グループは,微小内視鏡カルシウムイメージング法を用いて,マカクザル(ニホンザル)の第1次視覚野(V1)からの神経活動記録に初めて成功した(ニュースリリース)。

「カルシウムイメージング」は,神経細胞が活動する時に細胞内部で起こるカルシウムイオンの急激な濃度の上昇を蛍光信号に変換し,多数の神経細胞の活動を同時に可視化する。カルシウムイオンに結合し,蛍光を発する特殊なセンサーを用いて,このイオン濃度の上昇を蛍光顕微鏡によって直接光学的に観察する。

カルシウムイメージングには,2光子顕微鏡を使って脳表面から記録するやり方(2光子顕微鏡法)と,脳内に微小な筒形の屈折率分布型(GRIN)レンズを埋め込み,ミニチュア顕微鏡を使って観察するやり方(微小内視鏡法)がある。

微小内視鏡法は,時間・空間解像度では2光子顕微鏡法に劣るが,脳深部からの神経活動記録や自由行動下における記録に適しているというメリットがあるが,技術的なハードルから,霊長類への適用例はほとんどなかった。そこで研究グループは,マカクザルの第1次視覚野(V1)をターゲットとして,微小内視鏡法を適用するためのメソッドを開発した。

今回,カルシウムインジケーター(GCaMP6s)を神経細胞に合成させるため,新たに開発された,霊長類での感染効率の高いアデノ随伴性ウイルスベクター2.1型(AAV2.1)を用い,微細なガラスマイクロピペットを使ってV1へのベクター注入を行なった。

先端に三角柱型プリズムの付いたプリズムプローブを用い,一部のサルでは小型蛍光顕微鏡を使って発現箇所を確認しながら,GRINレンズの留置と固定を行なった。その後,ミニチュア顕微鏡を取り付けるためのベースプレートを,焦点が合うように位置を調整しながらレンズ周辺に固定した。

微小内視鏡法では,ベースプレートにミニチュア顕微鏡を取り付けるだけでイメージングを行なうことができる。視野内のさまざまな位置にさまざまな刺激を繰り返し呈示し,留置したGRINレンズからの蛍光信号を記録した。

研究グループは,観察された細胞群のデータから,視覚野の細胞に特徴的な性質(受容野特性や傾き選択性)を再現し,サルが見ている刺激のデコーディングや日を跨いだ同一細胞の追跡に成功し,微小内視鏡カルシウムイメージング法がマカクザルなどの霊長類においても有効な観察法として利用可能であることを実証した。

また,V1細胞が持つさまざまな特性を再現し,デコーディングや細胞追跡などの解析に成功したことは,微小内視鏡法が視覚野以外の脳領域においても有用であることを示すものだとしている。

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