静岡大ら,「まぶしい」ときの脳活動の過程を解明

静岡大学,スズキ,上武大学は,強い光を受けて「まぶしい」と感じているときの脳活動の過程を脳波計測により明らかにした(ニュースリリース)。

対向車のハイビームにより,「まぶしい」と感じるときがある。このような強い光刺激によって生じる視覚体験を “グレア(glare)” と呼ぶ。グレアは視認能力の低下や不快感をともない,交通事故の原因ともなる。

グレアの対策のため,その工学的評価法が提案されてきたが,従来手法では光刺激の物理的要因のみが用いられ,グレアという主観体験を生み出す脳の神経活動は考慮されてこなかった。

研究所グループは,脳波計測により,人間が「まぶしさ」を感じているときに活動している脳の部位とその時間帯を調べた。実験の参加者は遮光された防音・電磁シールドルーム内で,超高輝度ディスプレー(最大輝度:2500cd/m2)に呈示される白色の光刺激について,まぶしさ判断課題を行なった。

実験は2日間に渡って実施され,1日目には,各参加者のグレア閾値(50%の割合で “まぶしい” と判断する輝度)を調べた。2日目は,そのグレア閾値を基準として5段階の輝度を参加者ごとに設定し,まぶしさ判断を行なっている参加者の脳波(63チャンネル)を計測した。

計測と解析の結果,グレアに関連する脳活動の増大が,右後頭側頭部(光刺激呈示開始の約100ミリ秒後),左後頭側頭部(同130-300ミリ秒後),および前頭前部(同180-190ミリ秒後)に観測された。

後頭側頭部で観測される脳波は,下側頭回とよばれる視覚領野の活動を反映していると考えられている。この下側頭回は,サルを対象とした研究により,明るさや光沢に応答する神経細胞が観測されており,今回右・左の後頭側頭部に観測された脳活動の増大は,光の強度や光り輝く質感に関連する神経応答を反映しているのではないかと考えられるという。

一方,前頭前部は,痛みに関連して活動することも報告されているブロードマン10野・11野の直上に位置しており,前頭前部に観測された脳活動の増大は,“まぶしさ” にともなう不快感に関連する神経応答を反映しているのではないかと考えられるとした。

この成果は,生理学的根拠をもってグレアの評価を行なうための基盤知見となることが期待されるもの。研究所グループは,物理的要因だけでは測れない個人差も含めたグレアの対策が可能となり,個人個人のもつ多様な特性に合わせた,より快適で安全な運転環境の創出に繋がっていくことが期待されるとしている。

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