NECは,AIによる大腸内視鏡画像解析の技術を発展させ,大腸の病変が腫瘍性である可能性を判定する技術を新たに開発し,病変の鑑別を支援する機能としてCEマーキング表示の要件に適合した(ニュースリリース)。
大腸がんは,がんとして欧州域内で2番目に患者数が多いと言われており,日本国内では最も患者数が多い。大腸がんはその多くが前がん病変(大腸腫瘍性ポリープ)から発生することが明らかになっており,内視鏡検査時に前がん病変の段階で見つけ出し摘除することで,大腸がんへの進行を抑制することができる。
しかし,内視鏡検査において内視鏡医による目視確認で病変の腫瘍性/非腫瘍性を鑑別するのは難しいケースがあることを背景として,生体検査(生検)や不要な非腫瘍性病変の切除などを行なうことがあり,患者の身体への不必要な負担があることが特に欧州では課題として挙げられている。
これに対し,同社は内視鏡画像を専門医の所見と併せてAIに学習させ,大腸の病変が腫瘍性である可能性を判定する技術を新たに開発した。具体的には,内視鏡機器による静止画撮影時に解析を行ない,大腸の病変が腫瘍性である可能性が高いとAIが判定した場合は「High possibility」,低いと判定した場合は「Low possibility」と画面上に表示する。
開発にあたっては同社のAI技術群「NEC the WISE」の一つであり,米国国立標準技術研究所(NIST)において高い評価を獲得した顔認証技術を応用した。今回,AI診断支援医療機器ソフトウェア「WISE VISION Endoscopy」にこの機能「Cx20」を搭載し,本年から欧州において販売を開始する。
「WISE VISION Endoscopy」は,主要内視鏡メーカーの内視鏡機器に接続が可能。既存の内視鏡とこのソフトウェアを搭載した端末およびモニターを接続するだけで,すぐに使用を開始できるという。
同社は国立がん研究センターと2016年から連携し,大腸の病変が疑われる部位を内視鏡検査中に自動検知する技術を開発し,今年1月にこの技術を搭載したソフトウェアの販売を開始している。今回の機能追加により,「WISE VISION Endoscopy」は欧州地域においては大腸病変の検出支援に加えて病変の鑑別支援を一貫して行なえることで,医師と患者の負担軽減に貢献することを目指すとしている。