広島大学はウシオの抗ウイルス・除菌用紫外線技術「Care222」を用いた新型コロナウイルス変異株への照射効果を評価し,従来株と同等の不活化効果を確認したと発表した(ニュースリリース)。
現在,国内外を問わず新型コロナウイルスの複数種の変異株による感染者が増えつづけている。一方,ウイルスの不活化に必要な紫外線(UV-C)量は想定可能であるとされている。
新型コロナウイルスの変異株は複製・増殖時にゲノムのごく一部の配列が変化したものだが,紫外線(UV-C)の感受性を規定するゲノムサイズやピリミジンジヌクレオチド頻度に大きな変化はない。したがって,従来株と変異株で222nm紫外線への不活化の感受性は理論的に変わらないことが推察されていた。しかしながら,変異株においての検証実験は実施されていなかった。
そこで研究グループは,新型コロナウイルスの臨床分離株(N501Y変異株)と従来株との222nm紫外線による不活化効果の評価を行なった。それぞれの新型コロナウイルス株に対し,プラスチック上の乾燥した環境において,2,4,6mJ/cm2の222nm紫外線による照射試験を5回繰り返し行ない,未照射のものと比較した不活化効果を評価した。
その結果,当初の推察通り変異株と従来株において,222nm紫外線による不活化効果は同等(有意差があるとは言えない)だった。
各微生物を不活化するのに必要なUV曝露量は様々だが,紫外線(UV-C)に対して抵抗性を獲得した既知の微生物は存在しない。また,この評価では新型コロナウイルスの変異株においても222nm紫外線に対する感受性が変化しないことが明らかにされたことから,「Care222」によるウイルス対策への展開が期待されるとしている。