東芝デバイス&ストレージは,半導体リレーの一種であるソリッドステートリレー(SSR)に使用する高耐圧パワーMOSFETのゲート駆動に適した,薄型SO6Lパッケージのフォトボルタイック出力フォトカプラ「TLP3910」の販売を開始した(ニュースリリース)。
SSRは,出力側のデバイスとしてフォトトライアック/フォトトランジスター/フォトサイリスター等の半導体デバイスを用いたリレーで,大電流をON/OFF制御する応用に適している。また,フォトボルタイックカプラは,光素子とMOSFETからなるフォトリレーから,スイッチ機能を担うMOSFETを除いた製品で,絶縁型SSRを構成する際,フォトボルタイックカプラとMOSFETを組み合わせることで,フォトリレーでは難しい高電圧・大電流のスイッチが容易に実現できるという。
同社の従来製品「TLP191B」や「TLP3906」では,高耐圧パワーMOSFET駆動時のゲート電圧が10V以上の場合,開放電圧が足りずに,2個直列で使用する必要があった。「TLP3910」は,最小開放電圧が従来製品と比べて2倍の14Vで,高耐圧パワーMOSFETのゲートを1個で駆動することができ,部品点数の削減が可能だとしている。さらに,内蔵放電回路の性能向上により,標準ターンオフ時間を「TLP3906」と比べて約1/3,「TLP191B」と比べて約1/30の0.1msに短縮し,高速化した。
「TLP3910」は,フォトボルタイックカプラでは同社初の最小沿面・空間距離8mm,最小絶縁耐圧5000Vrmsを実現し,AC400V系で駆動する産業機器等への応用を可能にし,高温動作125°C対応により応用範囲を広げたという。
この製品の主な応用機器は以下のとおり。
・絶縁型SSR(スイッチ用高耐圧パワーMOSFETのゲート駆動)
・産業機器(プログラマブルロジックコントローラーなどI/Oのリレー接点出力,ブレーキシステムソレノイド駆動制御部,主電源回路・突入電流防止回路,BMS(Battery Management System)のバッテリー電圧監視部,地絡検出部)
・計測機器(電源ライン切替,測定ライン切替)
この製品の主な特長は以下のとおり。
・高い開放電圧:VOC=14V(min)
・短絡電流:ISC=12μA(min)@IF=10mA(C20ランク品)ISC=20μA(min)@IF=10mA
・高い絶縁耐圧:BVS=5000Vrms(min)
・高い動作温度定格:Topr(max)=125°C
・沿面/空間距離:8mm(min)