セイコーエプソンと子会社のエプソンクロスインベストメントは,両社の出資するEP-GB投資事業有限責任組合を通じて,ICチップ型LiDARモジュールを開発・販売するスタートアップ企業の米SiLC Technologiesへ出資したと発表した(ニュースリリース)。
SiLC Technologiesは,シリコンフォトニクス業界で20年以上の経験を有するメンバーによって2018年に設立され,シリコンフォトニクス技術を活用したICチップ型LiDARを開発している。
LiDARは,レーザー光を対象物に照射し,その反射光を観測することで対象物までの距離やその瞬間速度などを計測できる技術で,自動運転やADAS(Advanced Driver Assistance System 先進運転支援システム)などへの適応が期待されている。加えてFMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式を採用しているLiDARは,従来のToF(Time of Flight)方式に比べ,計測距離と消費電力の点で優れた特長を備えている。
SiLC TechnologiesのICチップ型LiDARは,FMCW方式を採用し,センサー性能,ICチップ統合技術,製造ノウハウの面で高い競合優位性を誇っており,今後,監視カメラ,産業ロボット,自動運転やADAS,AR/VR用のコンシューマーデバイスといった幅広い産業で活用が期待されているという。
SiLC Technologiesは今回,エプソンの他にOSRAM Ventures,Sony Innovation Fund,UMC Capital,Yamato Holdings,Global Brainから合わせて1700万ドルのシリーズA資金調達ラウンドを発表している。
エプソンは,自社で保有している人や物の運動状態や姿勢・位置情報を測定するセンサーと,SiLC Technologiesの有するLiDAR技術との相互補完によって,今後さらなる拡大が見込まれる自動車産業やロボット産業における顧客価値向上を目指すとともに,さまざまなコア技術とのシナジーによる新たな活用領域についても模索していくとしている。