長崎大ら,サンドイッチ錯体から円偏光発光を観測

長崎大学は,3つのAgイオンをPt錯体ユニットで挟み込んだ発光性多核サンドイッチ錯体の合成に成功し,得られた多核サンドイッチ錯体が円偏光発光を示すことを独ドルトムント工科大学と明らかにした(ニュースリリース)。

金属イオンを有機分子で挟み込んだ分子は,「サンドイッチ錯体」と呼ばれている。

近年ではサンドイッチ錯体の構造概念も拡張され,複数の金属イオンが挟み込まれた「多核サンドイッチ錯体」も合成可能であることが示されている。そして,そのサンドイッチ構造に特有の構造変換や反応性が数多く見出されてきた。

しかしこれまでの研究報告例では,その興味深い構造と反応性に関するもののみであり,多核サンドイッチ構造に由来する特徴的な光学特性は明らかにされていなかった。

研究では3つのAgイオンをPt錯体ユニットで挟み込むことで,発光性多核サンドイッチ錯体の合成に成功した。得られたサンドイッチ錯体は,その他のサンドイッチ錯体と共通する柔軟な構造変換や反応性を示し,例えば,サンドイッチ構造を維持した異性化挙動を示すこと,サンドイッチ構造を維持した脱メタル化・メタル化反応を示すことが分かったという。

研究グループは,得られた多核サンドイッチ錯体が光学異性体の混合物であることに目をつけ,光学異性体の分離も達成した。光学異性体は主な物理的性質(融点・沸点・屈折率など)は同一だが,光学特性(旋光度など)や生理活性のみが異なる。

そして分離した光学異性体の光学特性を明らかにした。多核サンドイッチ錯体の光学異性体の分離とそれらの光学特性を明らかにしたのは世界初だとする。

円偏光発光を示す材料開発は3Dディスプレー技術の根幹を担っており,研究グループはこの成果について,サンドイッチ錯体の歴史に新たな1ページを刻むとともに,新しいタイプの円偏光発光材料を開発する方法論を確立するもだとしている。

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