NHKエンジニアリングシステム,三菱総合研究所,富士通,映像配信高度化機構,NTTドコモは,8K内視鏡カメラであらかじめ撮影した手術中の8K映像を,「4K8K高度映像配信システム」を活用し,第5世代移動通信システム(5G)経由で遠隔地に伝送する技術実証実験を実施した(ニュースリリース)。
8K内視鏡カメラを使ってがん手術を行う執刀医に対して,遠隔地にいる熟練の専門医が伝送されてくる8K内視鏡映像を見ながら適切な指示指導を行なうことで,熟練医師のいない地域でも質の高い医療提供が可能になると期待されている。遠隔での手術を実現するためには,超高画質ながら大容量の8K映像を,無線も含むネットワークで可能な限り遅延を抑え,高画質のままで送受信することが重要となる。
今回,NHKエンジニアリングシステムが中心となって開発中の8K内視鏡カメラと,オリンパスが開発した8K腹腔鏡を用いてあらかじめ撮影した手術中の8K映像を,NTTドコモの5Gを含むネットワークを使って,映像配信高度化機構が開発中の「4K8K高度映像配信システム」に蓄積しつつ,新宿区の仮想8K内視鏡手術施設から,渋谷区の仮想専門医待機施設に配信した。
さらに,「4K8K高度映像配信システム」に,8K手術映像や動物実験で撮影された腹腔鏡内の8K映像等をデータベースとして登録し,事前の症例研究や研修などに利用できるように,5Gネットワークに接続された複数端末に配信することで,どの程度の遅延や画質の劣化などが生じるか,データを集めながら実証実験を行なった。
2日間の実証実験の結果,8K内視鏡カメラの映像を,8Kの高画質を保ったまま,最小限の遅延で問題なく,5Gネットワークを使って遠隔地に配信できることを確認した。また,「4K8K高度映像配信システム」にデータベースとして登録し,5Gネットワークで複数端末に同時に高画質のまま配信することもできた。
グループは今後,今回の技術実証実験を踏まえて,5Gネットワークを活用した「4K8K高度映像配信システム」の課題検証を行ない,医療分野等における産業横断的な利活用を目指し取り組んでいくとしている。