日本電産は2月5日,三菱重工業から,工作機械,切削工具及びその関連製品に関する設計・製造・販売等を手掛ける三菱重工工作機械の株式の取得及び工作機械事業を専業とする海外子会社3社の三菱重工グループが保有する株式の全持分譲受,並びに海外子会社9社が営む工作機械事業の事業譲受契約を締結致したと発表した(ニュースリリース)。
この株式取得により,日本電産グループに工作機械事業が加わることとなり,グループの既存事業との相互補完が強化されるとする。特に,同社グループは,日本電産シンポにおいて減速機及びプレス機の製造・販売・サービス事業を展開することから,この既存2事業と要素技術開発,製造,営業面等においてシナジーがあると見込んでおり,三菱重工工作機械は日本電産シンポの第三の柱たる事業として重要な位置づけとなるとしている。
さらに現在,同社が最も注力しているモータ・インバータ・減速機を三位一体にしたEV用トラクションユニットの中核部品の一つであるギヤの強化において,三菱重工工作機械のギヤに精通した人材及び高度な技術力を獲得でき,将来的な内製化に向けた取り組みにも寄与する,同社EV戦略にも合致した重要な取り組みだという。
三菱重工工作機械は,工作機械,切削工具及びその関連製品に関する設計・製造・販売及びアフターサービス等を提供しており,主な製品分野は国内トップシェアを誇る。自動車用トランスミッションや減速機等の歯車装置において,切削加工から研削加工に至るまでの高精度・高効率の歯車加工を実現する歯車機械を始め,最先端かつ独自技術を提供する,レーザー・半導体製造装置等の製品を展開している。
中でも金属粉末材料をピンポイントで連続的にレーザー溶融点にノズル供給するデポジション方式(DED方式)を採用した,レーザーによる金属積層造形技術を用いた金属3Dプリンターは,「2020年度日本機械学会賞」を受賞する高い技術力を持つ。
同社は,三菱重工工作機械を軸として工作機械事業の更なる拡大を視野に入れており,日本電産グループと三菱重工工作機械のそれぞれが持つ技術力,ブランド力,顧客基盤を相互に利用して,グローバルベースで工作機械市場へ展開したいとしている。