三菱重工業は,日本機械学会が主催する「2020年度日本機械学会賞」において,グループ全体で金属3Dプリンターを含む4件を受賞したと発表した(ニュースリリース)。
日本機械学会賞は同学会創立60周年(1957年)記念事業の一つとして「日本の機械工学・工業の発展を奨励する」ことを目的として1958年に設けられた。以来,機械工学・工業界の発展と連動するかたちで表彰枠組などを順次拡充してきた。
2020年度は,優秀な技術功績・論文・技術を対象とする日本機械学会賞(技術功績)5件,同(論文)16件,同(技術)8件,若手顕彰のための日本機械学会奨励賞(研究)17件,同(技術)12件,優れた教育活動を対象とする「日本機械学会教育賞」5件が会員個人一人ないし複数に,優秀製品に向けた「日本機械学会優秀製品賞」4件が企業に,それぞれ贈られる。
同社グループからは,三菱重工工作機械の独自方式を採用した金属3D(3次元)プリンター開発,三菱パワーの固体酸化物形燃料電池(SOFC)・ガスタービン複合分散型電源システム,および同社の超々臨界圧ボイラが受賞。また,「日本機械学会奨励賞」では,同社のボイラ伝熱性評価向上技術が表彰を受けた。
三菱重工工作機械が受賞した「パウダDED方式3次元金属積層造形機の開発」は,レーザーによる金属積層造形技術を用いた金属3Dプリンター。金属粉末材料をピンポイントで連続的にレーザー溶融点にノズル供給するデポジション方式(DED方式)を採用している。
不活性ガスの最適噴射により溶融部への大気流入を遮断するローカルシールドノズルと,インプロセスで金属溶融部を観察して造形条件をリアルタイムに制御できるモニタリングフィードバック機能を独自開発。この二つの機能を最適制御することで,造形品質の安定性と大型部品造形の生産性を飛躍的に向上させた。
なお,日本電産は三菱重工工作機械について,同社の株式の及び工作機械事業を専業とする海外子会社3社の全持分の譲受,並びに海外子会社9社が営む工作機械事業の事業譲渡契約を,三菱重工業と締結したと発表している。