福岡工大,力で色が変わる構造色ゲルを開発

福岡工業大学は,約100万分の1mmの薄さの無機ナノシートの集合体を用いて,力を検知して色変化を起こす新素材「無機ナノシート構造色ゲル」を開発した(ニュースリリース)。

蝶の鱗粉や,クジャクの羽,オパールなどの輝きは本来無色の物質が特別な構造を形成することで,表面に当たる光を様々な角度で反射して鮮やかな色を発している。

こうした原理による発色は「構造色」と呼ばれ,染料などとは異なり耐久性があり,構造変化によって色調が変化するなど,多くの利点がある。これまで,球状シリカ粒子などを利用して自然界の構造色を模倣する研究が数多く行なわれてきた。

天然の鉱物などの無機物質の中には,薄いシートが幾重にも重なった層状結晶の状態で存在するものがある。研究グループは,これらの層状結晶をバラバラに剥離・分離させ,約100万分の1ミリの薄さのナノレベルの小さなシートにした「無機ナノシート」の集合体である新しいタイプの構造色材料「無機ナノシート構造色ゲル」を実現した。

「無機ナノシート構造色ゲル」は,高分子ゲルの中に固定化されて,全体にわたってナノシートの厚みの数百倍の間隔で規則正しく並んだ特別な構造となっている。溶液の状態で形成されているこのような構造を破壊しないように固定化するのは非常に困難だったが,合成条件などを試行錯誤することで,世界で初めてこれを実現した。

1kPa(豆腐を押しつぶすのに必要な力の10分の1ほど)の弱い力を検知し,1000分1秒以下のスピードで応答する。これにより,物体のどの部位にどれくらいの圧力がかかっているかを,リアルタイムでの色調変化としてとらえることができる。

「無機ナノシート構造色ゲル」は無機物であるが故に耐久性があり,かつ薄いシート状のため他の材料に比べて比表面積大きく,高分子ゲルと強力に相互作用しながら混ざり合うため,高い強度を実現している。柔軟性と強度(圧縮破壊強度3MPa)を併せ持つため,荷重による破壊前兆を警告する表示デバイスを作ることができる。

また,インクや染料と違って紫外線などによる褪色に強いため,色褪せない装飾品などとしても利用でき,従来材料では不可能であった低コスト・高強度・高耐久性を実現したという。

さらに,今回用いたナノシートは,様々な機能性と高い設計性を持つことから注目を浴びている「層状ペロブスカイト」から造られており,特定の化学物質の検出など,さらなる応用も期待されるとしている。

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