国立遺伝学研究所,花の構造色の因子を絞り込み

著者: 梅村 舞香

国立遺伝学研究所は,ギンセンカのゲノム解析やトランスクリプトーム解析を行ない,構造色の発色に必要な微細構造の形成に関わる因子の絞り込みに成功した(ニュースリリース)。

構造色とは物質表面の微細な構造により発色する色を言い,昆虫や鳥類など様々な生物で観察されている。構造色は植物の花弁にも見られ,昆虫の誘引に寄与すると言われている。

ギンセンカは,花弁に構造色を持つ植物の1つ。ギンセンカの花は,中心部が紫色,外側が薄い黄色を示す。紫色はアントシアニンの色素由来だが,紫色を示す花弁の表皮細胞には微細な凹凸構造が存在するため,構造色も発色している。

今回絞り込んだ,植物のクチクラ形成に関わる転写因子であるSHINE1,クチクラ成分の1つであるクチンの合成因子であるCUTIN SYNTHASE 2,同じくクチンの合成に関わる因子であるCYP77Aファミリー遺伝子は,モデル植物シロイヌナズナの花弁に存在する微細構造の形成に関わることが知られているため,ギンセンカ花弁の微細構造形成にも関与する可能性が高いと考えられるという。

研究グループは,今後,絞り込んだ候補因子を皮切りに微細構造形成のメカニズムやその進化の解明を目指すとしている。

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