古河電気工業は,現在インターネット通信などの光ファイバーアクセス回線に使われるEPON装置において,ソフトウェアによって仮想的なネットワークを作り上げるSDN(Software Defined Networking)技術を開発した(ニュースリリース)。
これまでの光ファイバーアクセス回線は,高速インターネット接続,電話,ビデオ配信などが主な用途だった。近年はSociety5.0の社会に向けて光ファイバーアクセス回線への期待と需要はますます増大し,モバイル通信や無線通信用のフロントホールなどへの利用や,IoTインフラ,モビリティインフラなどへの利用にも期待されている。
今回開発した技術は,IEEE(米国電気電子学会)により規格化されているEPONにおける仮想化を実現するための技術で,ONF(Open Network Foundation)にて推進されているVOLTHAと呼ばれるオープンソースをベースとしている。この技術の開発成果については,ONFにて世界公開しているという。
世界的な光ファイバーを使ったアクセス回線は,ITU-T(国際電気通信連合の電気通信部門)などで推進して策定されたGPON方式と,IEEEなどが推進して策定されたEPON方式がある。日本ではIEEE方式が通信事業者やケーブルテレビ事業者で使われており,今回の開発はIEEEのEPON方式に対応した光ファイバーアクセス回線用の技術。
少子高齢化による労働人口減少という社会課題は,情報通信ネットワークの運用においても顕在化しており,多様な市場の要求を満足させる運用を実現するためには現行の技術方式では難しいと言われているという。
同社では今回開発した技術により,将来的には光ファイバーアクセス回線の終端装置の運用を自動化し,この運用に携わる人がより高付加価値なセクターに配置されることで,経済生産性を引き上げることができるとしている。