産総研ら,2nm世代向け新構造トランジスタを開発

産業技術総合研究所(産総研)と東北大学は,台湾半導体研究中心(TSRI)らの台湾国際共同研究グループと,2nm世代の電界効果トランジスタ(FET)とされるSiとGeの異種チャネル相補型電界効果トランジスタhCFET(heterogeneous Complementary-Field Effect Transistor)を開発した(ニューリリース)。

産総研とTSRIは日本-台湾国際連携を通じて,Si層とGe層が積層されたSi/Ge異種チャネル集積プラットフォームを構築した。摂氏200度以下で高品質のSi層とGe層を積層する低温異種材料接合技術(Low Temperature Hetero-layer Bonding Technology:LT-HBT)を開発した。

積層プロセスとエッチングプロセスをすべて低温で行なうことで,Si層やGe層へのダメージが極めて少ない高品質のSi/Ge異種チャネル集積プラットフォームを実現した。また,この技術を用いると,hCFET作製プロセスの大幅な簡略化が図れるだけでなく,さらなる多層化構造にも対応できるという。

このSi/Ge異種チャネル積層プラットフォームから,異種チャネル相補型電界効果トランジスタ,hCFETを作製した。単一のゲートで作製したn型FETとp型FETを同時にトランジスタ動作させることに成功し,LT-HBTによる異種チャネル積層化が2nm世代のトランジスタ技術として極めて有効であることを示した。

今回,2nm世代の3次元異種チャネル相補型電界効果トランジスタhCFETが初めて開発された。高速情報処理を低消費電力で行なえる大規模集積回路実現へ新たな一歩だという。今後,国際共同研究グループは,精度の高い異種チャネル集積プラットフォームを確立し,量産化への指針を示すことで,3年程度をめどに海外を含む民間企業への技術移転を目指すとしている。

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