富士フイルムは,ラージフォーマットセンサー(35mm判の約1.7倍の面積を持つ対角55mmのイメージセンサー)を搭載したミラーレスデジタルカメラ「FUJIFILM GFX100」向けに,世界最高約4億画素の画像を忠実な色再現で撮影・生成できる新機能「ピクセルシフトマルチショット」を開発し,11月25日より提供を開始した(ニュースリリース)。
同社は2019年6月に,1億2百万画素のラージフォーマットセンサー,高速画像処理エンジン「X-Processor 4」,高精度なボディ内手ブレ補正機構を搭載した「GFX100」を発売。その用途をデジタルアーカイブ分野にも広げるため,この機能を開発した。
新機能は,「GFX100」のイメージセンサーを超高精度にシフトさせて自動撮影を行なうことで,1回のシャッターで16枚の画像を取得し,さらに専用ソフトウェア「Pixel Shift Combiner」を用いて取得した画像を処理することで,世界最高約4億画素の画像を生成できるというもの。なお,イメージセンサーのシフトを高精度にコントロールするメカニズムは,「GFX100」のボディ内手ブレ補正機構を活用しているという。
通常,イメージセンサーでは,各画素にR(赤)・G(緑)・B(青)のうち,1つの色情報しか得ることができないため,残り2つの色情報を周辺画素の情報から推測し補完処理を行なっているが,新機能はイメージセンサーのシフトによる自動撮影で各画素にすべての色情報を取得できることから,忠実な色再現と細部にまで至る高い解像力を実現するとしている。
具体的には,まず,すべての画素で正確なRGBの色情報を取得するために,イメージセンサーを1画素ずつシフトさせて4枚の撮影を行なう。次に,このプロセスを0.5画素ずつシフトさせながら4回繰り返すことで,画素を微細化し4倍の解像度を実現する。
撮影したデータは「Pixel Shift Combiner」により,Digital Negative(DNG)形式のRAWファイルで保存することが可能。また,現像ソフトウェア「Capture One」を使用すれば,汎用性が高いTIFF形式などの画像として現像することができるという。
同社ではこの新機能について,貴重な文化財をはじめとする,多種多様な作品の細部の色や質感を表現し,作品の雰囲気を伝えることができるため,デジタルアーカイブ用途に最適だとしている。