東大ら,「ガンマ線連星」に新たな可能性を提案


東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)の研究グループは,中性子星が強磁場を持つマグネターと呼ばれる種類の星で,その磁場エネルギーが超効率的な高エネルギー粒子の加速を引き起こしガンマ線連星が輝いている可能性を提案した(ニュースリリース)。

研究グループは,ガンマ線を強く放射し連星周期により放射強度が増減する特殊な天体「ガンマ線連星」がどのような連星系であるか,また,どのようなメカニズムで超高エネルギー電子や強いガンマ線を生み出し輝くかの謎を明らかにするため,ガンマ線連星のLS5039に着目。X線天文衛星の「すざく」や「NuSTAR」のデータを解析した。

従来,ガンマ線連星は高温大質量星と質量の小さいコンパクト星の連星系と考えられてきたが,コンパクト星が中性子星かブラックホールなのかは分かっていなかった。

研究グループは今回,LS5039が大質量星と中性子星との連星系であることを明らかにした。また,従来定説とされてきた放射メカニズムを否定。中性子星が強磁場を持つマグネターと呼ばれる種類の星で,その磁場エネルギーが超効率的な高エネルギー粒子の加速を引き起こしガンマ線連星が輝いているという新たなメカニズムの可能性を提案した。

研究グループは今後,硬X線での追観測や他の波長データの解析を行ない,今回の発見をより確かなものにするとともに,連星中のマグネターがどのようにして高効率な粒子加速を引き起こすのか,詳細なメカニズムの解明も進めていくとしている。

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