熊本大学と京石産業は,独自の液中パルスプラズマ法を用いて,貴金属でこれまでにない極小のナノ粒子を合成する技術を開発した(ニュースリリース)。
熊本大学では,液中で大電流火花放電を用いた液中パルスプラズマ法を開発し,様々なナノ粒子の合成の研究を行なってきた。この方法では瞬間的な高温と液体による急冷効果によって粒子径の小さなナノ粒子を量産することができるという。
現在,10nm以下のナノ粒子が様々な分野で用いられているが,既存の方法(還元法やレーザーアブレーション法など)による5nm以下の極小ナノ粒子の合成は難しく,まだあまり世の中に出ていない。
同大では,これまでに液中繰り返し火花放電を用いた熊本大学独自のナノ粒子の合成法を確立していたが,平均粒径が3nm以上の金属ナノ粒子しか合成できなかった。今回,京石産業と共同して,瞬間的な電流量(ピーク電流)を2倍以上に上げることにより,金,パラジウム,白金で平均粒径が2nm以下の極小ナノ粒子を合成する技術を開発した。
金属ナノ粒子の大きさは,動的光散乱法で数値的に,透過電子顕微鏡(TEM)で視覚的に測定する。これまでに,これらの手法で測定限界以下である平均粒径1nm以下の金ナノ粒子,平均粒径2nm以下のパラジウムナノ粒子及び白金ナノ粒子の合成に成功しており,今後,ロジウム,ルテニウム,銀などの単体貴金属ナノ粒子,さらに,合金ナノ粒子,化合物ナノ粒子に広げていくとしている。
これらのナノ粒子は,触媒,医療材料,抗菌材料として応用が期待されるもの。研究グループは,すでに,貴金属ナノ粒子の半導体製造への応用研究などを進めているという。