富士フイルム,内視鏡診断支援機能を開発

富士フイルムは,AI技術を用いて大腸内視鏡検査時におけるポリープなどの病変の検出および腫瘍性もしくは非腫瘍性の鑑別を支援する内視鏡診断支援機能「CAD EYE(キャド アイ)」を搭載したソフトウェア「EW10-EC02」を,富士フイルムメディカルを通じて11月30日より発売することを発表した(ニュースリリース)。

大腸がんの検査は内視鏡検査が一般的だが,平坦な病変や微小な病変は発見が難しく,発見率を向上させることが課題となっている。また,切除する必要性が比較的低いとされる非腫瘍性の病変の切除件数を減らすことは医療費削減につながるため,内視鏡検査による正確な大腸ポリープ診断が求められているという。

「CAD EYE」は,同社の画像処理技術を基に培ったAI技術を活用して,大腸ポリープなどの病変の検出および鑑別をサポートする内視鏡診断支援機能で,内視鏡専門医並みの検出および鑑別ができることを目指して開発された。

「CAD EYE」は大腸ポリープなどの病変検出支援機能と疾患鑑別支援機能で構成される。病変検出支援機能は,内視鏡画面内にポリープなどの病変と疑われる箇所を検出すると,対象のエリアを枠で囲って表示するとともに,検出音を鳴らすことで医師の検出をサポート。検出した病変と疑われる箇所に近い内視鏡画面の外縁が点灯し,検査時の医師の視線移動を抑えるという。

疾患鑑別支援機能は,ポリープなどの病変と疑われる箇所について,腫瘍性もしくは非腫瘍性の鑑別結果を表示することで,医師の診断をサポート。鑑別結果が腫瘍性の場合には黄色,非腫瘍性の場合には緑色と,鑑別結果により異なる色を内視鏡画面の外縁に表示するとともに,鑑別を行なっている位置を示すポジションマップを内視鏡画面の脇に配置し,医師の視線移動を抑えるとともに視認性の高いデザインとなっている。

これら2つの機能は,内視鏡観察時にリアルタイムで作動し,画面静止操作や拡大操作など追加の操作をすることなく使用できる。また,処置時など,検出・鑑別機能が不要な時は手元の内視鏡スコープのスイッチで簡単にオン・オフの切り替えが可能だとしている。

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