パナソニックは,コストパフォーマンスに優れたウェット製法で,映り込みを低減したアンチグレアタイプの車載ディスプレー用反射防止フィルム「MUAG8(G200N)」を製品化した(ニュースリリース)。
センターインフォメーションディスプレーやサイドディスプレーなど車載ディスプレーの大型化,高精細・高画質化,異形状化,操作性向上が進むなか,安全・快適に運転をするために,ディスプレーは見やすく瞬時に情報を得られる必要があり,映り込みの低減が強く求められているという。
車載ディスプレーの映り込みを低減するためには最表面に反射防止機能が必要となる。入射光は反射防止膜の表面と裏面で反射するが,反射防止膜の屈折率と膜厚を最適化すれば,裏面反射光の位相が反転することで表面と裏面の反射光が相殺され,低反射性が得られる。
反射防止には,大画面化や異形状化に対応しやすく衝撃時の飛散を防ぐフィルムを貼合する方式が適しており,この製品は反射防止フィルムの製法としてウェット製法を採用した。ウェット製法は,生産リードタイムが短いなどコストパフォーマンスに優れる一方で反射防止特性に課題があったが,同社は独自の樹脂設計技術,ハードコート材料設計技術,ナノコーティング技術により,反射率を0.5%以下に抑える低反射特性を実現した。
また,厳しい使用環境下でのフィルムの劣化に対してはDIN規格(ドイツ工業規格)をクリアするハイレベルの耐候性を有するという。さらに,独自の光学材料設計によるフィルムの赤外線透過率が90%を超えるため,ディスプレーの周辺部にドライバーモニタリングシステムなどの赤外線センサーを配置する場合,検知に必要な光量が確保できればセンサー部を覆ってのフィルムの貼り付けが可能になり,センサー受光部の穴開け等の工程削減やデザイン性の向上に寄与するとしている。