産業技術総合研究所(産総研)は,兵庫県高精度標高データなどを,ウェブで利用しやすいPNG標高タイルに変換した「シームレス標高タイル」を公開した(ニュースリリース)。
近年,航空レーザー測量などの測量技術の進歩により,高精度の標高データが整備,公開されるようになってきた。一方,インターネット環境の普及,スマートフォンなどの情報端末の高機能化によりさまざまなウェブサイトが手軽に閲覧できるようになってきており,地域課題の解決にあたっても地域の特性を反映できる高精度の標高データを利用したウェブサイトの開発,活用が期待されている。
しかし,公開された高精度の標高データは専門家向けでファイルサイズも大きいため,それを活用した3D地図サイトなどの開発は進んでいなかった。
研究グループは,2013年から国土地理院地理空間情報部と共同で,標高データの有効活用を図るための研究を開始し,インターネット上で標高データを高速に利用するためのフォーマットとしてPNG標高タイルを開発した。また,国土地理院はこのPNG標高タイルを利用して日本全国の10mメッシュの標高タイルの公開を開始した。
最近では2020年1月に,兵庫県が他の都道府県に先駆けて1mメッシュの高精度標高データを整備,公開した。しかし,公開されたデータはテキストデータなどの形式で,インターネット上での利用には適していなかった。
そこで今回,兵庫県の協力を得て高精度標高データをインターネット上で利用しやすいPNG標高タイルに変換し,これまでタイル化されていなかった幾つかの標高と合わせて公開した。
研究グループは今後,兵庫県と協力してさまざまなアプリケーションの作成を支援していくという。また,詳細な標高データの公開を検討している兵庫県以外の自治体との連携も検討する。さらに,国土地理院がすでに公開している10mメッシュPNG標高タイルなども活用して,PNG標高タイルを利用した各種ウェブサイトやアプリケーションの開発,公開及びそれらの支援を行なうとしている。