富士キメラ総研は,リモートワークの推進によるデータ通信量の増加や,AIの普及などに伴い活用が進むとみられる半導体デバイスの市場を調査し,その結果を「2020 先端/注目半導体関連市場の現状と将来展望」にまとめた(ニュースリリース)。
それによると,今回調査対象とした半導体デバイス16品目の2020年市場は,26兆678億円(2019年比14.4%増)を見込む。新型コロナウイルス感染症の影響による外出制限でリモートワークなどが推進された結果,世界的にデータ通信量が増加しており半導体デバイスの需要は高まっているという。
米中貿易摩擦や日韓貿易摩擦による半導体市場への影響が見受けられるものの,リモートワークの一般化,AIの普及などに伴い今後も半導体デバイスの活用が進むとみており,2025年には43兆470億円(2019年比88.9%増)を予測する。
品目別にみると,DRAMの市場規模が最も大きく,次いでNAND,モバイル機器用APと続くという。DRAMやNANDは,データセンターの投資が好調であることから継続的に伸長していくとみる。スマートフォンやスマートグラスなどに搭載されるモバイル機器用APは,5G通信のサービス開始に伴い5G対応スマートフォンの需要が高まっていることや,スマートウォッチやスマートグラスなどへ用途が広がっていることから,2021年以降市場は堅調に拡大していくと予想する。
今回,注目市場として光学関連ではTOFセンサーとイメージセンサーを取り上げている。TOFセンサーは,光源から照射された光を反射させ到達時間から距離を検出する光学式の空間認識センサーを対象とした。小型化・低コスト化が図れる点がステレオカメラ方式やレーザースキャン方式の測距センサーよりも優れているとする。
2020年の市場は、1,055億円(2019年比6.4%増)を見込む。5G通信や画像認識技術の進展に伴いARの普及に向けた動きが進んでいる。TOFセンサーは,ARの普及のために欠かせないセンサーであり需要は増加しているという。スマートフォンで搭載が進むとみるが,中長期的にはスマートグラスでの搭載も期待されており,2025年には3,143億円(2019年比3.2倍)を予測する。
イメージセンサーは複数のタイプがあるが,ここではエリア型を対象とした。スマートフォンをはじめとするモバイル機器やPC,自動車などに搭載されている。
2020年の市場は,1兆9,680億円(2019年比3.0%増)が見込まれる。スマートフォンのカメラは一眼カメラの性能に追いつくための技術開発が活発化している。一つのセンサーでは高性能化が難しいためカメラの複眼化が進んでいる。ハイエンド製品では3眼が標準になっているが,搭載個数がスマートフォンの商品力に直結するため,さらなる多眼化が進み,イメージセンサーの需要は増加するとみる。
自動車では,ADAS/自動運転に関する技術開発が活発化しており,カメラの搭載個数が増加している。今後は,スマートフォンや自動車向けで画素数の増加とセンサーサイズの大型化が進むとみており,市場は拡大し2025年には2兆6,460億円(2019年比38.5%増)を予測する。