東工大ら,球体からの円偏光放射の制御に成功

東京工業大学は,新規開発した完全偏波4次元カソードルミネセンス法を用いた光の位相マッピングにより,球体からの円偏光放射の制御が可能であることを見出した(ニュースリリース)。

円偏光は,光の電場が光の進行方向に対してらせん状に回転するが,そのらせん回転の方向を二値的なデジタル信号にすることで,円偏光を利用した量子通信や暗号化などへの応用が期待されている。コンパクトな光デバイスを実現するためには,このような光の偏光状態をナノスケールで制御する必要がある。

研究では,2つのアプローチで球形の光ナノアンテナにおける円偏光場制御に成功した。一つ目は加速電子線を励起源として用いることで位相差をつけて2つの直交する双極子を励起する方法。マイナスのチャージを持った加速電子が球体を横切るとき,位相の異なる縮退した双極子が励起される。

二つ目のアプローチはシリコン(Si)をはじめとした誘電体物質を材料とすることで,電気双極子に加えて,極に直交する回転電場を伴う磁気双極子を励起する方法。これら電気・磁気双極子は異なる共鳴エネルギーを持つため,双極子間に位相差が生じ,円偏光を生成することが期待できる。研究ではこれらの球体からの円偏光生成のコンセプトを,実験的および理論的に実証した。

今回,電子線励起による円偏光生成をナノスケールで測定するため,放射角・エネルギーの同時分解可能な完全偏波4次元カソードルミネセンス法を新規に開発した。この測定は,走査型透過電子顕微鏡をベースにしており,1nmスケールの高空間分解能での光電場分布を可視化することができるという。

試料からの電子線励起発光(=カソードルミネセンス)の角度分散を空間的に保持したまま,分光器の2次元CCDカメラ面で一度に計測することで4次元計測(空間2次元+角度1次元+エネルギー1次元)が可能。また,偏光素子と1/4波長板によって直線偏光・円偏光両方の偏光場の計測が可能になっている。

この手法を利用して,6つの偏光状態における強度分布から,直交場の相対位相差及び偏光状態を示すストークスパラメータの空間分布を算出できる。また,これらの結果は理論的な解析計算からも裏付けられたという。

研究で提案したような対称性の高い構造からの円偏光制御は,全方位型の円偏光アンテナとして有用だとする。また,今回開発した完全偏波4次元カソードルミネセンス法はナノスケールでの偏光状態や位相抽出が広く可能となるため,今後の光デバイスやナノフォトニック材料の解析や研究開発に強力なツールとなるとしている。

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