シグマ光機は,同社の光学部品19種を組み込んだリモート光センサー装置「SuperCam」を搭載したNASAの火星探査機ローバーMars2020「Perseverance(パーシビアランス)」が,2020年7月30日(木)にフロリダのケープカナベラル空軍基地からの打ち上げに成功したと発表した。この探査機は2021年2月18日に火星に着陸する予定。
同社子会社である仏OptoSigma Europe S.A.S.と米OptoSigma Corporationは,仏研究所オブザーバトワレ・ド・パリ(パリ天文台)米ロスアラモス国立研究所(LANL),米ジェット推進研究所(JPL)と,「SuperCam」に組み込む光学部品を共同で開発してきた。
「SuperCam」内に取り付けられたミラー・レンズ・プリズムなど,ローバーに搭載されている光学系の約50%はOptoSigmaブランドを展開する同社グループによって供給されている。
これらの光学部品は,火星探査に必要な,高度な光学的な要求仕様を満たすとともに,火星の特殊で厳しい気候条件の中での動作に耐えるために,真空・ 温度・湿度・熱サイクルなどの,外部専門テスト機関による様々な厳しいテストをクリアしてきた。
「SuperCam」はローバーのマスト頭部に取付けられ,遠隔カラーマイクロイメージャーにより採取される様々なサンプルの高解像度のイメージ画像を取得する。
「SuperCam」には他にも火星の岩石や土壌などのサンプルの元素組成の調査のため,これまでの火星探査ミッションで実績のあるリモートレーザ誘導ブレークダウン分光器(LIBS)機能を搭載している他,ラマン分光器,時間分解蛍光分光器(TRF),可視及び赤外線反射率分光機能などの機能が統合されている。
今回のローバーの主な目的には,1つ目として古代の微生物などの生命存在の形跡を探索・評価すること。2つ目として,火星の岩石と土壌のサンプルをその場で採取・分析し,その分析データを地球に送ること。そして,3つ目として,それらのサンプルを収集し,サンプルチューブに格納して所定の座標に配置することがある。
これにより,将来火星に派遣する予定の回収ローバーがサンプルを汚染せずに,地球に持ち帰ることを計画している。このサンプルを分析し,火星の地質や気候についての詳細な結果を得ることが目標。その結果に基づき,将来のロボットと有人による探査のための課題を克服する新しい技術の創出が期待されている。
同社では今回のノウハウを製品開発に生かすとともに,今後も産学官での共同研究などに積極的に取り組むとしている。