東工大ら,X線で触媒活性点の温度測定に成功

東京工業大学と国際基督教大学の研究グループは,マイクロ波により固体触媒の活性点に高選択的に局所加熱が生じることを X線吸収微細構造(XAFS)測定で実証した(ニュースリリース)。

マイクロ波を触媒に照射すると「非平衡局所加熱」とよばれる微視的な領域での局所高温場が生じる。局所的は高温反応場が,触媒反応の促進に寄与していると考えられてきた。

特に,担持金属触媒にマイクロ波を照射した場合,触媒活性点となる担持金属をマイクロ波加熱されると考えられる。触媒活性点を選択的に加熱することにより,反応に必要なエネルギーのみを供給した,革新的な省エネルギー触媒反応プロセスが可能となる。

しかし,マイクロ波照射中の金属ナノ粒子のサイズが非常に小さいため,サーモグラフィーや放射温度計などの一般的な温度計測手法では,温度を見積もることは困難であった。

研究グループは今回,マイクロ波照射中にXAFS測定が可能な顕微分光用マイクロ波加熱システムを確立した。このマイクロ波システムは半導体式マイクロ波発振器と円筒型空洞共振器を搭載しており,XAFS測定中のマイクロ波照射条件を精密に一定に保つことが可能。

この顕微分光用マイクロ波加熱システムを用い,高エネルギー加速器研究機構においてマイクロ波照射中の担持Ptナノ粒子のXAFS測定を行なった。得られたPtナノ粒子の広域X線吸収微細構造(EXAFS)スペクトル解析から,温度依存性を示すDebye-Waller因子を求め,温度に対してプロットした。

通常の伝熱加熱によって得られたDebye-Waller因子を検量線として,マイクロ波照射中のDebye-Waller因子の値を温度として換算し,担持Ptナノ粒子の局所温度を推測したところ,周囲の担体と比較して26~132K高いことを見出した。これは,マイクロ波を固体触媒に照射すると,マイクロ波が触媒活性点となる担持金属ナノ粒子を直接加熱し,触媒反応の加速することを示すもの。

今後,再生可能エネルギーの普及が進むにつれて,多くの化学産業が化石資源の使用からの脱却が望まれる。マイクロ波は電力を化学反応に必要なエネルギーに効率的に変換し,触媒反応の大きな省エネルギー化に貢献することができると期待されるという。

マイクロ波を用いた固体触媒反応は,今後,環境浄化触媒反応,メタンやCO2,バイオマスといった難資源化炭素化合物を有効利用する技術などへの応用が可能だとしている。

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