大日本印刷(DNP)は,新型コロナウイルスへの感染予防対策として,AIを活用した独自の画像解析技術によって,厚生労働省が提唱する“正しい手洗い”ができているかどうかを判定し、“正しい手洗い”を啓発する「手洗いAIサービス」を開発した(ニュースリリース)。9月に提供を開始する。
同社は,カメラや映像を活用した「DNPセキュア監視サービス」の一環として,映像データをAIで解析するサービスを展開しており,食品工場等に向けた総合衛生管理サービス等の開発を進めてきた。今回,新型コロナウイルスの感染拡大が続いていることを受け,“正しい手洗い”の普及につながる「手洗いAIサービス」を開発した。
この製品は,「DNPセキュア監視サービス」をベースとし、衛生管理の基本となる“正しい手洗い”を一人ひとりが実施できているかどうかを,手洗いの映像からリアルタイムに解析・判断し,“正しい手洗い”が完了するまでAIが誘導するもの。
洗面台に設置したカメラで利用者が手を洗っているシーンを撮影し,手洗い工程のマニュアルのうち実施されたもの/されなかったもの,手洗いに要した時間などをAIでチェックする。
マニュアル通りだったかどうかをリアルタイムに解析し,その結果を洗面台に設置したモニターに表示して,利用者に視覚的にわかりやすく伝え,正しい手洗い手順をガイドする。
実際に衛生管理の重要性と“正しい手洗い”に関する社員向けの講習会を実施し,「手洗いAIサービス」を利用した場合と利用しない場合の衛生状態を「ATP(アデノシン三リン酸)ふき取り検査」(細菌や食材残さの検査)で比較したところ,衛生状態が保たれているとされるATP基準値の達成率が,通常の手洗いでは30%程度のところ,このサービスを利用した場合は90%程度となり,また一人ひとりの手洗い水準のばらつきが抑えられるというデータが得られたという。
この製品は判定結果のログが蓄積されるため,手洗い実施率などの統計データとして活用できる。利用者の衛生意識の向上や健康保持に向けた取り組みなどに活かすことが可能だとしている。