富士フイルムの子会社であるジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)は,中央社会保険医療協議会の総会において,自家培養角膜上皮「ネピック」の保険収載が了承されたことを発表した(ニュースリリース)。
この製品は,角膜上皮幹細胞疲弊症の治療を目的としたもので,眼科領域で国内初の再生医療等製品となる。
またこの製品は,患者自身の角膜輪部組織から角膜上皮幹細胞を採取してシート状に培養したもので,同品を移植することにより角膜上皮を再建させることを目的としている。
同社は,眼科医療機器メーカーであるニデックからの委託を受けこの製品の開発を進め,2020年3月に製造販売承認を取得し,今回の保険収載の了承に至った。なお,販売はニデックが行なう予定。
「ネピック」の保険収載の概要は以下の通り。
販売名/ネピック
保険収載日/2020年6月1日
保険償還価格/
(1)組織運搬セット:4,280,000円
(2)培養角膜上皮パッケージ:5,470,000円
合計 9,750,000円
決定区分/C2(新機能・新技術)
主な使用目的/角膜上皮幹細胞疲弊症。ただし,以下の患者を除く。
・スティーヴンス・ジョンソン症候群の患者
・眼類天疱瘡の患者
・移植片対宿主病の患者
・無虹彩症等の先天的に角膜上皮幹細胞に形成異常を来す疾患の患者
・再発翼状片の患者
・特発性の角膜上皮幹細胞疲弊症患者
同社は,今回保険収載が了承された「ネピック」を市場導入することで,再生医療の産業化・実用化をさらに推進するとともに,生活の質(QOL)の向上に貢献していくとしている。