OISTら,ペロブスカイト太陽電池の欠陥を解明

沖縄科学技術大学院大学(OIST),英ケンブリッジ大学の研究グループは,ペロブスカイト有機太陽電池の潜在能力を低下させている欠陥の原因を突きとめた(ニュースリリース)。

シリコン系太陽電池に代わる有望材料として,ペロブスカイトが浮上しているが,性能の損失や不安定性を示しており,量産し普及させるためにはまだ課題がある。ペロブスカイトの発光を調べると,ある大きな領域が明るく光っている一方,他の領域は暗い。こうした暗い領域は太陽電池やLEDにおける電力損失に相当するが,その原因は謎だった。

研究グループは,光電子顕微鏡(PEEM)と呼ばれる技術を初めてペロブスカイトに適用し,紫外線を材料に照射して,放出された電子から画像を構成した。

材料を観察したところ,暗い領域には長さ10~100nmのトラップが存在し,それらはさらに小さな原子サイズのトラップ部位のクラスターであることが判明した。これらのトラップクラスターは,ペロブスカイト材料全体に不均一に広がっていた。トラップの場所をペロブスカイト材料の結晶粒を示す画像に重ね合わせたところ,トラップクラスターは特定の場所でのみ形成されることを発見した。

その理由を明らかにするため,研究グループは,ペロブスカイト材料の結晶構造を詳細にイメージングした。英ダイヤモンドライトソースシンクロトロン施設の電子顕微鏡設備を利用し,トラップクラスターが形成されるのが,わずかに歪んだ構造を有する領域と本来の構造を有する領域との接合部だけであることを発見した。

ペロブスカイトでは,材料の粒が規則的なモザイク状になっており,その粒の大半は整った本来の構造を有する。しかし,あちこちに,わずかに歪みのある粒があり,そうした粒の化学的性質は不均一となる。

歪みのある粒そのものがトラップなのではなく,そうした粒と本来の構造を有する粒とが出会う場所にトラップがあるということで,トラップを形成しているのは接合部であることがわかった。

このようにトラップの性質を理解した上で,研究グループはカスタムメイドのPEEM装置を利用して,ペロブスカイト材料内で発生する電荷キャリアトラッピングプロセスの動態を可視化した。

これは,PEEM設備がフェムト秒レベルの超高速プロセスイメージングが可能なことによる。これにより,トラッピングのプロセスは,トラップクラスターへと拡散する電荷キャリアに支配されているということが判明した。

研究グループはこれらの発見が,ペロブスカイトを太陽エネルギー市場に持ち込むための大きなブレークスルーになるとしている。

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