日建設計,協和エクシオ,WHERE,オムロン,神田通信機は,働き方改革や脱炭素社会の実現のために,ワークプレイスの有効利用と室内環境の最適化を目指すクラウドプラットフォームを活用したセンサー・設備制御ネットワークシステムの開発・改善・普及に向けた取り組みを共同で実施していくことに合意した(ニュースリリース)。
従来,空調・照明・防犯・防災・日射遮蔽・映像音響などの建築設備では,各システムが独自にセンサーを設置しており,相互無関係に制御されてきた。これに対し,より快適に,より効率的に建築空間を運用し,生産性向上や脱炭素化を促進するためには,空間の全体最適化を可能とするシステム開発が必要となる。この協創は,ネットワーク,センサー,設備制御,建築設計などの各分野の連携による建築空間を様々な側面から統合的に全体最適化の実現を目的としている。
この協創におけるシステムコンセプトは,以下の概念に基づいている。
(1)デジタルツイン(サイバー空間にリアルの物体や事象をリアルタイムな連動性をもって再現するもの)は,センサーが収集した現実世界の情報をサイバー空間で解析し,現実世界の制御へのフィードバックを可能とする。
(2)オープンスタンダードの一つであるAPI(Application Programing Interface: ソフトウェアやアプリケーションなどの一部を外部に向けて公開することにより,第三者が開発したソフトウェアと機能を共有できるようにするもの) は,相互接続性・相互運用性を可能とする。
これらの概念に基づき,建物内にセンシング専用のネットワークを構築,複数センサーのデータをクラウドプラットフォームにアップロード,マッシュアップし,全体最適解を探索するため総体的に解析,設備制御にフィードバック可能な設備制御ネットワークシステムの構築を目指す。
さらに,センサーや設備のマルチベンダー化が促進され,拡張・更新が容易で陳腐化しないシステムの構築が図られる。同時に,建物オーナーやユーザー自身が,アップロード・マッシュアップされたデータを利用し,ワークスペースの改善やワーカーの活動支援に活用が可能となる。
なお既に,実際のオフィスを利用したセンサー・ネットワークシステムの実証実験を開始している。今後は,設備制御やAIとの連携の拡大を図り,実フィールドにおける省エネルギー効果の検証や働き方改革への応用を試行していくとしている。