矢野経済研究所は,車載用半導体世界市場の調査を実施し,車両に搭載されているマイコンやセンサー,パワー半導体の市場概況,技術動向,メーカ各社の事業戦略を明らかにした(ニュースリリース)。
それによると,2018年における車載用半導体世界市場規模を前年比6.0%増の310.9億ドルと推計した。
車載用半導体で最も市場規模が大きいのがECU(Electronic Control Unit)の電源回路などで必要なアナログICで,次いでマイコン(MCU:Micro Control Unit),センサー,パワー半導体,メモリと続く。2019年は新車販売台数がマイナス成長であることから,MCUとアナログICの成長は鈍化する見込みだという。
一方でADAS(先進運転支援システム)やxEV(次世代車)向けがけん引するセンサーやパワー半導体,メモリICについては堅調に推移することから,2019年の車載用半導体世界市場規模は前年比1.0%増の314.1億ドルを見込む。
注目トピックとして,車両一台あたりのモーター搭載個数は拡大しており,モーターを制御するためのパワー半導体の需要が拡大している。
これは耐圧200V以下のパワー半導体(ダイオードやMOSFET)が中心であり,モーター制御用途に加えて,LEDライト,48Vシステム,電動ポンプ,ADAS(先進運転支援システム)/ AD(Autonomous Driving;自動運転)向けセンサーなどの需要が,車載用パワー半導体市場を押し上げている。
将来展望として車載用半導体の世界市場規模は,2025年に437.7億ドル,2030年には586.1億ドルになると予測する。
2030年に向けて車載用半導体の需要をけん引するのが,ADAS/AD,xEV,コネクテッドカーの3分野であり,車載用のセンサー,パワー半導体,メモリICの成長が期待できる。
特に車載用センサーについては,運転を支援するカメラ用CMOSイメージセンサー,レーダ用送受信チップの数量が拡大する見込みだという。パワー半導体についても,2026年頃以降にはSiC(シリコンカーバイド)を使用したパワー半導体の搭載が本格的に進展する見通しだとしている。