小松マテーレは東芝マテリアルと協力し,ウイルスを酸化分解する効果がある,可視光応答型の新型光触媒素材「ウイルスシールド®」を開発した(ニュースリリース)。
ウイルスが特に気になる季節には,咳やクシャミだけでなく,接触によるウイルスの拡散が心配される。同社は,公共の空間を含めた身の回りの繊維素材として,ウイルスの活動を抑制する,安心・安全・快適な加工技術を模索した結果,光触媒での開発に至ったという。素材の開発過程では,光触媒の効果を保ちつつ繊維上へ定着させることに苦難したとし,1年半をかけて加工技術を確立した。
一般的な光触媒加工には,酸化チタンを使用するが,酸化チタンの効果が発現する領域は紫外線領域のみのため,太陽光などの明るい光では効果が出やすいが,暗い場所では効果が出にくくなる。これに対してこの素材は特殊な酸化タングステンを使用しており,可視光領域を含む広い領域での効果が期待できるとし,紫外線領域から可視光領域までの広い範囲の微弱な光でも,ウイルスを高速分解できるといている。
この素材を特殊吸着剤とハイブリッドさせたインフルエンザウイルスの接触試験では,6時間で99%の低減効果を確認したという。この素材に接触したウイルスは,感染力が弱まるため,その後の接触などによる拡散を抑えるとしている。同社は,この素材について,3年後に10億円の販売規模を見込んでいる。