大日本印刷(DNP)は,光の映り込みを防ぐ「防眩フィルム」を貼ったディスプレー表面のぎらつき現象において,今まで比較が困難だった異なる測定装置や測定条件においても,信頼性の高い客観的データの取得に必要な光学測定原理を解明した(ニュースリリース)。
ディスプレーに貼っている防眩フィルム表面の凹凸形状が,ディスプレーの画素マトリクスから出る光と作用して不規則な粒状ノイズとなり,微細な輝度分布を引き起こし,「ぎらつき」現象が発生する。従来,ぎらつきの度合いは,熟練者が経験や感性によって目視で判断していたが,個人差が生じやすく,測定結果の定量化や再現性に課題があった。
そこで同社は,顧客である最終製品メーカーとの間で,目視官能評価の数値化にとどまらず,測定結果を定量的に比較・評価できるよう,ぎらつき測定の光学測定原理についての研究を開始した。
ぎらつき測定は,防眩フィルムを貼ったディスプレー表面をカメラで撮影して,撮影画像からぎらつきの明暗として感じられる輝度分布の標準偏差を平均値で除して行なう。
同社は,カメラレンズの絞りから測定面を見込む角度でディスプレー面上の最小解像領域の大きさが決まることを確認し,ディスプレー面上の最小解像領域の大きさがぎらつきに反比例することを突き止めた。
その結果,撮影の際には最小解像領域が同じになるようにレンズの焦点距離や測定距離を適切に設定することにより,異なる測定条件でも撮像面上でのぎらつきが一致することを実証した。
また,カメラレンズの撮像素子上の最小解像領域は一般的にレンズのF値(レンズの焦点距離と絞り開口径の比)のみに依存することが知られているが,同じF値で撮像するという条件をさらに加えることで,異なる焦点距離のレンズを用いた場合でも,測定装置から出力されるぎらつきの値を一致させることに成功した。
以上の知見を用いることにより,異なる測定装置・条件の場合でも,測定値の差異が生ずる原因解析や基準を統一したデータ比較を行なうことができる。
今後も同社は,ぎらつき光学測定原理の研究結果を用い,より優れた「ぎらつき防止防眩フィルム」の開発を行なうとともに,ぎらつきに関する最新の技術について,学会などで発表していくとしている。