名大ら,高感度・高応答水素センサー素子開発

名古屋大学,鈴木商館の研究グループは,様々な環境中の水素濃度を高感度かつ高レスポンスで測定可能な水素センシング素子を開発した(ニュースリリース)。

水素はアンモニアや肥料の製造,石油化学工業,製鉄所,ロケット用燃料などに,広く使われている。近年では,水素燃料電池自動車(FCV)や FCフォークリフトなど,水素を燃料とするモビリティの普及とともに,水素センサーへの新たなニーズが高まっている。

例えば,燃料電池の出力を評価するために,燃料電池内の水素濃度(60~100%)や水蒸気を含む排気ガス中の水素濃度(~10%程度)を,直接測定できるセンサーが望まれている。

一方,医療分野では,心肺停止患者に水素ガスを吸入させるなどの臨床試験が行なわれている。また,水素を溶存させた保存液に移植用の臓器を保存したり,透析液に水素を添加するなど,医療分野でも新しい水素の利用について研究が進められている。

上記のような測定環境では,既存の水素センサーでの水素検知,水素濃度測定は困難であり,新しい水素センシング技術が求められてきた。

今回開発したセンサーは,水素だけを選んで透過させる水素透過金属膜を濃淡電池式センサーの電極に活用していることが特徴となる。測定対象に接触する試料極側の電極(試料極)と水素濃度の基準となる電極(標準極)に用いる合金の組成や膜厚の制御,センサー素子の構造や構成などを工夫することによって,高い水素選択性と素早い応答性の実現に成功した。

水素のみに反応する水素透過金属膜の機能によって,従来のセンサーでは測定が困難な環境で水素濃度の測定が可能になった。例えば,可燃性ガスや水蒸気を含む混合ガス中の水素濃度測定,酸性度の異なる様々な液体中の溶存水素濃度の測定など,多様な応用が可能になる。

この水素センシング技術により,従来の水素センサーでは対応できない様々な環境でも水素濃度の測定が可能になるという。今後は工業,医療から農業に至る水素がかかわる様々な分野での幅広い応用が期待されるとしている。

キーワード:

関連記事

  • OIST、レーザーで量子スピンを制御しセンチメートル級の物体を動かすことに成功

    沖縄科学技術大学院大学(OIST)の研究チームは、レーザー光によってダイヤモンド内部の電子スピンを制御し、そのスピンが生み出す力だけで、センチメートル級の物体を動かすことに成功した(ニュースリリース)。量子スピンに由来す…

    2026.10.09
  • 京大、60GHz帯で超広帯域移動通信とセンシング融合技術の同時実証に成功

    京都大学・教授の原田博司氏らの研究グループは、60GHz帯のミリ波を用いたソフトウェア無線技術を開発し、走行中の車両から最大10.3Gbit/sの高速無線伝送に成功した(ニュースリリース)。さらに、車両の位置の推定を超高…

    2026.10.09
  • 芝浦工大、検知・通信・給電・描画を1本のレーザーに統合へ

    芝浦工業大学・教授の新熊亮一氏を中心とする研究チームは、慶應義塾大学・准教授の吉岡健太郎氏らと提案した研究開発課題「四位一体レーザーによる面的能動空間の創出」が、科学技術振興機構(JST)の研究プログラム「CRONOS」…

    2026.10.07
  • 九州大学など、波長・位相を制御可能な次世代VCSELを開発へ

    九州大学大学院総合理工学研究院・教授の濱口達史氏と、みらい創造インベストメンツが共同代表者として申請した「パラメータ制御機構を内在するレーザー素子の実現と時空計測用途に向けた社会実装」が、科学技術振興機構(JST)の「デ…

    2026.10.06
  • 東海大、冷却装置なしで作動するカーボンナノチューブ熱電素子を開発

    東海大学の研究グループは、単層カーボンナノチューブ(単層CNT)を用いた熱電素子において、薄膜を貼り付ける基板を替えるだけで、同じ素子を「電源」と「熱流センサー」として使い分けられることを明らかにした(ニュースリリース)…

    2026.08.17

新着ニュース

人気記事

編集部おすすめ

  • オプトキャリア