⾃動⾞内装部品の林テレンプは,レーザーを光源とした,⾃動⾞内装向け光ファイバー照明(レーザー光ファイバー照明)を開発した(ニュースリリース)。
光が四方に広がる特性を持つLEDは,光線を極めて狭い領域に集めることが困難なため,直径約3.5mm以上の太い導光体を用いる必要があり,スペースが限られる⾞室内での設置に大きな制約があった。またLEDを用いた光ファイバー照明は,先端に向かうにつれ光量が減少してしまうため,ファイバーの⻑さは2mほどが限度だった。
この製品は,光の直進性が高く,効率よく光を集中させることができるレーザーを光源として用いることで,断面積が従来の1/5未満の細い発光ファイバーの使用を実現した。光を細いファイバー内に閉じ込めて運ぶことができるので,光源を分離させて置くことができ,光源を配置するスペースが限られる天井やドア,インパネといった様々な場所への設置が容易になり,設計上の⾃由度が⼤きく向上したという。
また,5m以上の細く柔軟なファイバーを均一に光らせることができるため,大型で曲線的なデザインにも対応するほか,その発光原理上,混じり気のないビビッドな⾊彩を表現できるのも特⻑だとする。
一方,照明の光源のレーザーは,レーザーポインターの250〜300倍という非常に強い光を用いるため,⾞室内で安全に使用するには,ファイバーが破損した際の対策などに課題があったが,同社はレーザー光の漏れを即座に感知し,発光を停止させる制御システムを開発。⾞載するにあたり⼤前提となる「安全」に配慮した。
この製品により,先鋭的で未来感のある演出が可能になることから,同社はコンセプトカーや⾼級⾞向けの需要を⾒込んでいる。既に,トヨタ⾃動⾞の低速⾃動運転EV「e-Palette(イー・パレット)」の天井照明と出入口レール灯に採用されているという。同社では今後改良を重ね,最終的にはイベントや住宅向けにも供給したいとしている。