光産業技術振興協会は,第35回櫻井健二郎氏記念賞が決定したと発表した。今回受賞したのは,日本電信電話(NTT)の「低しきい値・高速半導体メンブレンレーザの開発」の1件。
同社は,直接変調レーザの研究においてメンブレン構造を適用することによりフォトニック結晶レーザでは世界最小のしきい値と低消費電力動作を達成した。
また,異種材料基板の直接接合技術を用いて面発光レーザーと同等の低消費電力Si基板上メンブレンレーザーを実現,さらに,SiC基板上にメンブレンレーザーを作製して,光フィードバック効果を用いることにより,直接変調では世界最速の256Gb/s-PAM4伝送を実現した。
これらの成果は,データセンタ内インターコネクトの大容量化に加え,将来のボード内,CPU内光インターコネクトを可能にする直接変調レーザの新たな可能性を切り拓いた。
最近のデータセンタ内における大容量超高速情報通信処理の需要に応える一方で,急激な気候変動を抑止し,地球環境を守るための省エネルギー効果も重要視されている現在,この研究成果は,その両者の要請に適合するものであり,光産業の発展に大きく貢献する優れた業績となる。
なお同賞は,光産業及び光技術の振興を図ることを目的として創設したもので,光産業技術の分野において先導的役割を果たした業績を年1回,表彰するもの。
表彰式は2月19日(水)に開催する「2019年度光産業技術シンポジウム」終了後,リーガロイヤルホテル東京で挙行される。式では,賞状ならびに副賞としてメダルと賞金を贈呈する予定としている。