NEDOら,非破壊分析用小型中性子解析装置を開発

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO),新構造材料技術研究組合(ISMA),産業技術総合研究所(産総研)の研究グループは,輸送機器の構造材料・部品などの非破壊分析向けに小型中性子解析装置を開発した(ニュースリリース)。

自動車などに代表される輸送機器の軽量化は,省エネ化の促進や二酸化炭素排出量の削減に直結する重要な技術開発の一つと位置付けられている。そこで最近は,さまざまな軽量部材で輸送機器を構成(マルチマテリアル化)することで,総合的な軽量化が図られている。

その場合,材料の物性はそれぞれ異なるため,組み合わせ部材の健全性が重要になる。健全性の評価には,非破壊検査を通じて結晶のひずみなどの変化を分析できることが必要となる。

NEDOは,X線よりも透過力が高い中性子線に着目し,革新的構造材料などの研究開発事業において,中性子線を用いたマルチマテリアル部材などの解析手法の確立を進めてきた。

中性子線は多くの材料に対して物質透過能力が高いため,非破壊分析に有効となる。例えば,X線ではほとんど透過できない厚さ5mmの鉄でも,中性子線は50%程度透過する。さらに中性子の透過強度測定・解析により,材料の結晶のひずみなどの情報を画像化できる(この分析法はブラッグエッジイメージング法と呼ばれている)。

同事業の中で,ISMAの組合員である産総研は,2017年度から,輸送機器の構造材料・部品などの非破壊分析向けに,産総研つくばセンター内で10~20m規模と比較的小型の中性子解析装置の開発を開始した。

そして今回,世界で初めてブラッグエッジイメージング法に特化した小型装置を,再委託先である北海道大学,理化学研究所,東京工業大学,高エネルギー加速器研究機構とともに短期間で開発し,最初の中性子の発生と結晶情報を含む透過スペクトルの計測に成功した。

金属などで構成する部品や材料内部の広い面積(現状10cm角)の結晶構造情報(結晶相やひずみなど)を,二次元画像として非破壊で観測できる。小型のため,使用時は専有となり自由な条件設定が可能なほか,小規模体制での運営により,産業ユーザーからの装置利用時間などに関する要望にも柔軟に対応できるという。

また,自動車部品を想定して,さまざまな試料サイズに適応できる試料室も設けた。これらにより,健全性の高い構造材料・部品の開発と輸送機器の軽量化の促進につなげられるとしている。

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