浜松ホトニクスは,独自の回路設計,構造設計技術により,多様なカメラと容易に接続できる直方体形状で小型,軽量のイメージインテンシファイア(I.I.)ユニット「C14245 シリーズ」を開発した(ニュースリリース)。価格は190万円から。
I.I.とは,夜間の星明り下での暗視用として開発された画像増強管で,セラミック製の真空容器や光を電子に変える光電面,電子を増倍するマイクロチャンネルプレート(MCP),電子を光に戻す蛍光面などで構成されている。
I.I.を産業用カメラと接続することで,可視光に加え近赤外光や紫外光などの不可視光の微弱な発光現象を撮像でき,ゲート機能を付加することで電気的なシャッターによる高速現象の撮像も可能となる。
同製品は,多様なカメラと容易に接続できる直方体形状で小型,軽量のI.I.ユニット。I.I.を駆動させるには,8,000V程度の電圧を供給する高圧電源回路や制御回路が必要となる。
そのため同社は,I.I.と周辺回路を組み合わせた使い勝手の良い I.I.ユニットを製品化してきた。これまで,主に小型のCCDカメラと接続し,産業,バイオ,天文,学術分野などで使用されてきたが,高性能化に伴いカメラの形状が多様化する中,L字型の従来製品よりもカメラと接続しやすい形状の製品が求められていた。
同製品は,回路の配置や全体の構造設計を見直しI.I.周辺に回路をまとめることで,カメラ本体や電源ケーブルなどを容易に接続できる直方体形状とした。同時に,使用する電子部品を見直すとともに回路設計を工夫することで,従来製品と比べ体積と質量を約3分の2まで小型,軽量化(質量約600g)した。
また,直方体形状のため重量バランスが良く,接続するカメラへの負担を減らすことができるという。接続するカメラの形状の制限をなくしたことで,プリント基板の絶縁不良箇所からの微小な放電現象やエンジン内の燃焼状態,細胞の蛍光など,不可視光の微弱な発光現象を観察する用途での応用が広がると期待される。
今回,用途に応じ,紫外光から近赤外光の異なる波長帯に感度を持つ3種類の製品の受注を開始する。また,電子を増倍するMCPを2段に重ね,より感度を高めたタイプも用意している。同社は今後,さらなる小型化とともに,より速い現象も観察できる製品の開発を進めていくとしている。
なお,同製品を接続したカメラを検査装置に組み込むことで,プリント基板の絶縁不良による微小な放電やエンジン内の燃焼などを撮像でき,基板検査装置や電気機器,輸送機器メーカなどに向け2020年3月2日から受注を開始するという。