矢野経済研究所は,国内アイウェア市場を調査し,製品セグメント別の動向,注目トピック,将来展望を明らかにした(ニュースリリース)。
それによると,2018年の国内アイウェア小売市場規模は前年比100.8%の5,061億円と推計した。前年の2017年はヒットを続けてきた紫外線対策商品の一服感などの要因によりマイナスとなったが,2018年はほぼ横ばいではあるもののプラスに推移したという。
2018年はファッション性の高いリーディンググラスやキッズ用アイウェアなどが好調な売れ行きを示した。また「目の健康」をキーワードにしたアイケアのアプローチによる買い替え需要も底堅く推移した。
さらには偏光レンズや調光レンズの売れ行きが堅調であったこと,多焦点レンズのオーダーメイド商品が広く認知されたこと,防傷レンズや遠近両用レンズなどオプションレンズが好調で単価が上昇していること,EC販売が拡大していること,などが好調要因として挙げられるという。
その他,インポートブランドにおいて自社直営ショップを出店する企業が増えたことで顧客が要望する商品をタイムリーに提供できたことや,ブランド種別をまたぐカテゴリーアプローチ型販促によるクロスセリングによって商品単価が向上したことなどが奏功したとする。
ブルーライトカットをはじめ,UV,花粉対策などの機能性アイウェア商品のヒットにより,各社でさまざまな切り口による商品開発が行なわれ,開発競争は激化している。また,近年はHEV(高エネルギー可視光線;ブルーライト)やNIR(近赤外線),バイオレットライトなど美容や健康といったキーワードで,消費者へ訴求することに成功している。
その他,釣り愛好家に向けたハネ上げ可能なアイウェアや,激しいスポーツから目を保護するジュニア用ゴーグルなど一定の顧客層に向けた商品の販売が好調を示しているという。
さらにアイウェアの需要が高まる45歳以上のミドルシニア世代が増加を続けていくことから,ターゲットが望む商品を提供していくことが出来れば,今後も国内アイウェア小売市場は底堅く堅調に推移していく見込みだとしている。
また,個性的な店舗での接客や個々の顧客に適したアイケアサービスなど他社との違いを打ち出す店舗が増えており「個性を引き出すファッションとしてのアイウェア」の提案はより重要度が増している。
技術の進展によりアイウェアの他,コンタクトレンズや眼内レンズ,レーシック,オルソケラトロジー(視力矯正治療)などのアイウェア周辺市場は広がっていく見通しだという。将来的にはアイウェア業界といった範疇ではなく,眼にまつわるものをトータルとして提案する視点が必要になっていくものと考えられるとしている。