京都産業大学の研究グループは,大きな質量の系外惑星(ホット・ジュピター)において,生まれて間もない恒星の近傍をほぼ円軌道で公転するという新たな特徴を示す「KELT-24b」を発見した(ニュースリリース)。
今回,新たな系外惑星を探すための観測プロジェクト「KELTサーベイ」において系外惑星候補を選び出した。その後,京都産業大学神山天文台の荒木望遠鏡を用いた観測などによるトランジット現象の詳細な測光観測,ならびに,研究グループの分光観測から,系外惑星KELT-24 bという新たなホット・ジュピターを発見した。
更には,この系外惑星(KELT-24 b)と系外惑星が公転している恒星(KELT-24)について,以下のような物理的性質を明らかした。
・系外惑星KELT-24 bは,恒星KELT-24の手前を横切るため「トランジット現象」が観測される。
・系外惑星KELT-24 bの質量は木星の5.18倍,半径は木星の1.272倍を示す。
・系外惑星KELT-24 bの公転周期は5.55日と短く(軌道半径は0.07天文単位),軌道の離心率は0.077(ほぼ円軌道)を示す。また,公転軸と恒星KELT-24の自転軸はほぼそろっている。
・恒星KELT-24は,Vバンドでの見かけの等級が8.3等級と非常に明るい。
・恒星KELT-24の年齢は7億8000万年程度とF型星としては若く,質量は太陽の1.460倍,半径は太陽の1.506倍を示す。
特に重要なことは,KELT-24 bがまだ若い恒星の近傍にあるホット・ジュピターであるにも関わらず,特異な公転軌道を示していないこと,そしてKELT-24がこの種のホット・ジュピターを持つ恒星の中で最も明るいことにあるという。
恒星の近くでは,固体の水(すなわち氷)が存在せず,恒星近傍の惑星は岩石を主な材料として形成されるため,あまり大きな質量の惑星を形成することが困難と考えられている。
そこでホット・ジュピター形成過程として,恒星から離れた場所で形成された後,力学的メカニズムで恒星近傍まで移動してくることで説明できるのではないか,という考え方がある。ただし,その場合は一旦,離心率の大きな軌道になるなど特異な公転軌道を示した後,長い時間をかけて円軌道に移っていく必要がある。
今回発見されたKELT-24 bの場合,円軌道に移り変わるまでにかかる時間は127億年程度かかると推定されることから,遠方で形成された巨大ガス惑星を若い恒星の近傍に移動させ,ほぼ円軌道にするための時間が十分にない。今回の発見は,ホット・ジュピターの形成の過程を解明するうえで,重要な意味をもつ研究成果であるとしている。